スバル新型「クロストレック」は“脱インプレッサ”! なぜ「XV」から車名変更? 開発者に聞いた!
将来的にトヨタのハイブリッドシステムを搭載!?
――パワートレインは2リッターe-BOXER(ハイブリッド)のみの設定になりました。従来モデルのXVは1.6リッター自然吸気も人気だったと聞いています。
毛塚:さまざまな規制を考えて、日本向けはハイブリッドのみとしました。ガソリン車は、設定すれば出した瞬間こそ売れると思いますが、長期的にとなると難しいところです。
新型クロストレックのe-BOXERやリニアトロニックCVTは、振動や音といった雑味を取ることで、乗り味も良くなっています。
――ほかのハイブリッドユニットも検討しているそうですね。
毛塚:すでに中期経営計画などで発表済みですが、トヨタの「THS II」を活用したハイブリッドも開発中で、モデルライフのなかで考えています。
――シャシ系はインナーフレーム構造、2ピニオン電動パワーステアリング、電動ブレーキブースターなど、レヴォーグやWRX S4譲りの武器をフル活用しています。走りに関しては相当、期待しています。
毛塚:そこはご安心ください。テストコースの周回路を無限に乗っていたくなるくらいに仕上がっています。曲がるだけでなく真っすぐ走っても「楽しい!」と思っていただけるはずです。
――ちなみにベンチマークとなったライバル車は何ですか。
毛塚:色々ありますが、最大のライバルは「従来型XV」でした。
もちろん個々の性能は新たな武器で良くなっていますが、クルマ全体のバランスという部分では、なかなか超えられず苦労しました。
フルインナーフレーム構造だけでは足りず、シート剛性やルーフの共振抑制、さらにはACT-4(アクティブトルクスプリットAWD)の制御変更など、華やかさはありませんが車両全体にさまざまな工夫を盛り込んでいます。
その結果、乗ったら「何かいいよね!」と思っていただけるクルマに仕上がったと自負しています。
――バランスに優れた走りということでしょうか。
毛塚:挑むような走りではなく、どんな道でも普通に何も意識せずに「スーッ」と走れてしまうような実力を備えています。
――安全性能の進化はどうでしょうか。
毛塚:高度運転支援技術の「アイサイトX」は未採用ですが、「次世代アイサイト」を搭載しており、ステレオカメラ+広角単眼カメラの3眼に進化させました。
これによりプリクラッシュブレーキで対応できるシチュエーションも拡大し、アイサイトとして最高の性能を実現しています。
また多くの人から要望があった、車両周囲360°を映し出すデジタルマルチビューモニターも設定しています。
――周りの反応はどうですか。
毛塚:社内の確認会では、「あまり変わっていない?」が半分、「やりすぎじゃないか?」が半分といった感じです。
日本ではXVユーザーの平均年齢が高いので若い人に振り向いて欲しいと思っていますが、実際に若い人からの評判が高いと聞いてホッとしています。
発売は2023年を予定していますが、早く皆さんにステアリングを握ってほしいです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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