あれ?「スマートキーが作動しない!」 突然発生する「車の鍵トラブル」 電池切れじゃない「意外な原因」があった?
クルマのスマートキーですが、突如として「エンジンの始動が出来なくなる」「ドアの開閉が出来なくなる」といったトラブルに見舞われることがあります。通常であれば電池切れが疑われますが、そのほかにもさまざまな要因が考えられるようです。
電波障害? 電池切れ? それともメカトラブル? スマートキーの意外な落とし穴とは
さまざまなクルマの装備のなかで、機能しなくなると不便だなと感じるものは多種あり、とくに「スマートキー」は、その筆頭といえる装備ではないでしょうか。
そのスマートキーですが、突如として「エンジンの始動が出来なくなる」「ドアの開閉が出来なくなる」といったトラブルに見舞われることがあります。通常であれば電池切れが疑われますが、そのほかにもさまざまな要因が考えられるようです。
身に付けておくだけで、ドアの解錠・施錠、エンジンスタートなどができるスマートキー。
これが機能しないとなると、相当なパニックに陥ると思います。
先日、知人のAさんが愛車でこんな経験をしたといいます。
いつものように駐車場に向かい、車内に入りました。
ところが、いざエンジンを始動させようとしたら、ウンともスンとも。
リモコンやクルマのバッテリーをチェックしたり、ハンドルロックやATポジションなども確認したそうですが、とくに異常なし。
メカニカルキーを使って始動を試みましたが、これもNG。
Aさんは途方に暮れて、JAFのロードサービスを要請。
かけつけたJAFスタッフもAさんと同じ確認をひと通りおこなった結果、「これは完全にメカトラブルですね」といわれ、結局購入した販売店に入庫することになりました。
さらにレッカー車が到着し、後から来たそのJAFスタッフも確認作業をおこないましたが、やはりエンジンはかからず。
いよいよ、レッカー車にけん引させるという段階になったとき、なんといきなりエンジンが始動。
AさんもJAFスタッフもワケがわからず、とりあえずその日は帰宅。
後日、ディーラーでリモコンキーを確認し、各部も点検。
さらに診断機にもかけましたが、異常が発生したというデータさえも残っておらず、結局「ノートラブル」で返却されたそうです。
この話を聞いたときにふと思い出したのが、2018年に長崎で発生した大規模なスマートキーのトラブルです。
長崎界隈のユーザーのスマートキーが、突如まったく無反応になるという事象が発生したことがあります。
その数は200件超え。結局原因はわからずじまいでしたが、一説では米軍の使用周波数をリモコンキーが干渉したのではないかといわれています。
そもそも、スマートキーのシステムはどうなっているのでしょうか。
リモコンを持ったユーザーがクルマに近づく、またはドアのセンサー部に触れると、クルマに搭載されている発信機から電波が発せられます。
その電波をリモコンキーが受信すると、今度はリモコンキーが応答電波を発信。
それをクルマのセンサーが受信すると、解錠やエンジン始動がおこなえるようになるのです。
日本には電波法があるため、スマートキーシステムが発する電波の出力は非常に微弱です。
そのため、同じ様な周波数の電波が近くで発せられると、電波干渉を受けやすいといわれています。
スマートキーを採用している車種の取り扱い説明書を読んでみると、リモコンを携帯電話などの電子機器の近くにおくと、トラブルに繋がる恐れがあると記載されています。
実は当時のAさんも、リモコンと一緒にポケットWi-Fiを携行していたことが分かりました。
さらに駐めていた駐車場の脇には、携帯キャリア会社の大きな中継器アンテナが設置されていたようです。
しかし、こうしたことが要因でスマートキーの電波干渉が発生するとしたら、現代社会では頻繁に起こりうることになります。
JAF広報部に問い合わせたところ、「そういったデータや統計はまったくないため、そういった事例についての問い合わせには答えられない」とのこと。
しかし、自動車販売会社のメカニックは次のように語ります。
「電波干渉と思われるトラブルは、ごく稀にあります。
例えば、ガレージシャッターのリモコンの電波が、スマートキーの周波数に極めて近いことがありました。
しかし、これがトラブルの原因かどうかは決めきれないというのが本音です。
お客さまにこうしたトラブルが発生した場合、私どもでは関連したと思われる機器の周波数を計測。
スマートキーと近い場合は、キー側を交換するという対応をさせていただいております」
ちなみにとある自動車メーカーにも確認しましたが、1年に少数の問い合わせがあることから、そういった事象があるのではないかといいます。
しかし、どうしてエンジントラブルに繋がるのか、その要因や仕組みまでは把握できないようです。