シニアの新たな移動手段 歩道を走れる電動モビリティ「モデルS」登場! 一体どんな乗り物?
歩行者扱いとなるため原則は右側通行
直線の加速ですが、モーターの制御がうまく、最高速度6km/h設定では出足は緩やかすぎず、急すぎず、ほど良く心地良く、そこからしっかりと加速します。6km/hの定速走行になってもかったるさを感じません。
レバーから手を離した際の減速Gの出し方も実に自然。また、モーター音やタイヤ走行音もけっして大きくありません。
要するに、乗用車でいうところの、基本的な走行性能評価基準であるNVH(ノイズ「音」、バイブレーション「振動」、ハーシュネス「路面からの突き上げ」)の対策が良くできている、良質なモビリティだということです。
先に説明したように、モデルSは電動くるまいすに属しており、道路交通法では歩行者扱いとなるため原則は右側通行で歩道走行が可能です。
WHILLは、これまで発売してきた機種については100m以内でのパーソナルモビリティと位置付けていて、こうした需要には日本で約500万人のターゲットユーザーがいるものと想定しています。
一方、モデルSの移動範囲は500m以内を想定し、ターゲットユーザーは約700万人と見積もっています。
その上で、モデルSを、一般的な電動くるまいすや電動アシスト自転車とは異なる「これまでになかった、まったく新しいカテゴリーの移動手段」と定義付けているのです。
価格は21万8000円から。電動くるまいすは医療や福祉の観点から非課税となっています。
そのほか、2023年1月からサービスを開始予定の、「WHILL Smart Care」(年間契約税込み2万6400円)に加入すると、保険、ロードサービス、メディカルアシストに加えて、「WHILL Family App」によって、GPSによる機体の位置確認、外出履歴の記録、そして家族への情報通知などの機能が使えます。
現在、日本国内でのWHILLの販売は自動車の新車ディーラーが主体となって展開されており、WHILLの杉江理CEOは「WHILLは、(自動車ブランドを特定せず、多様なブランドの)皆さんと付き合っていくことが特長であり強み」と話します。
生産について「中国と台湾の合計3か所でそれぞれ完成車として仕上げている。当面、(自社工場を持たない)ファブレス企業として活動するつもりだ」という経営戦略についても触れました。
WHILLは、アメリカ、オランダ、中国に拠点があり、現在20以上の国や地域で販売、レンタルサービス、シェアリングサービスの3つの領域で事業を展開しています。
日本初のパーソナルモビリティのベンチャー企業の今後に期待したいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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