まるでEV!? 日産新型「エクストレイル」世界初のターボ+e-POWERが滑らかでパワフル!【試乗記】

フルモデルチェンジした日産「エクストレイル」は、世界初のVCターボエンジンとe-POWERを組み合わせたパワーユニットを搭載しています。一体どのような走りを見せたのでしょうか。

日本仕様がアメリカより遅れて登場した理由は?

 アメリカ市場では2020年秋にアンベールされていた新型「エクストレイル」(北米名は「ローグ」)ながら、やっと2022年7月に日本発売となった。

 それにしても、なぜアメリカよりも日本での発売が大きく遅れたのか。

 燃費規制の緩いアメリカと違って日本のCAFE(企業平均燃費)は厳しく「普通のエンジンを搭載したらクリアできない」ということで、日本仕様の開発の途中から、圧倒的に優れた熱効率を持つVCターボ(可変圧縮比エンジン)と日産のハイブリッドシステム「e-POWER」を搭載することにしたそうな。

タフギアと上質さが共存した日産新型「エクストレイル」
タフギアと上質さが共存した日産新型「エクストレイル」

 逆に考えると、VCターボとe-POWERをパワーユニットに使っていることが新型エクストレイルの大きな特徴になっている。ちなみにこのパワーユニットは世界初だという。

 クドクドとメカニズムを説明するより、新型エクストレイルに乗った感覚を紹介したいと思う。

 Dレンジをセレクトして走り出すと、前後に搭載されたモーターを車載の走行用リチウム電池で稼働させる。走り出しは100%電気自動車といって良い。ただ搭載している電池が小さいためすぐ減ってしまう。

 走り出してしばらくすると発電機をモーターとして使いVCターボを始動させる。セルモーターで始動させたような「ブルン」というショックは皆無。クルマが動き出しているため、エンジンが掛かったこともわからないほど静かで滑らか。

 エンジンが掛かったら発電機を駆動し、電力を作る。その電力で走行用モーターを稼働させて加速していく。変速機なし! CVTのような「滑る感じ」もなし!

 アクセル開度の少ない穏やかな走りのときはVCターボを最適燃費効率(高圧縮比)で回す。しかも本来なら2.5リッター級のエンジンを搭載するエクストレイルのボディに、1.5リッターという小さい排気量のエンジンを使うため、振動や騒音レベルは極めて少ない。

 街中や、一般道を流れに乗って走らせているときの新型エクストレイルは、エンジンを搭載していることも忘れるほどジェントル。快適です。

 その状態からアクセルを踏んだ、と思って欲しい。踏んだ直後に走行用リチウム電池から60馬力+αのパワーを出す。中程度の加速ならアクセル踏んで瞬時にレスポンスするため電気自動車っぽい雰囲気です。

 街中での加速についちゃ十分カバー可能。トヨタのハイブリッド車と比べてもレスポンスが良いほど。この点がe-POWERのストロングポイントになっていると思う。

 少し遅れてエンジンが発電機を稼働して作った電力も加わり、本格的な加速が始まる。

 新型エクストレイルのシステム最大出力は204馬力(エンジンで144馬力に電池からの60馬力を加え204馬力)。2.5リッターから3リッターエンジン搭載車くらいの動力性能をイメージして頂ければ良いだろう。

 この状態でのVCターボは圧縮比を落としパワフルで効率的なターボ過給をしている。

 いずれにしろ滑らかでドライバビリティに優れ、パワフルという素晴らしいパワーユニットになった。

 参考までに、実用燃費は街中を普通に走って16km/L前後。渋滞した都内で14km/L程度をイメージしてもらえば間違いなし。

 新型エクストレイルに試乗する機会あれば、燃費が良くて静かでパワフルで滑らかな走りはVCターボ+e-POWERのおかげだと思ってください。

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