「私道」は道交法適用外って本当? 実は知らない「公道」との違い何? 違反となる場合とは
私道でも道路交通法が適用されることも…
では、私道において道路交通法が適用されることはあるのでしょうか。首都圏の警察署交通安全課の担当者は、以下のように話します。
「私道と呼ばれる場所は“私有地”の扱いになるため、道路交通法が適用されることは基本的にはありません。
しかし、私道であっても基本的には一般的な交通ルールを守らなければ、他人に危害が加わったり、トラブルになったりと、さまざまな問題につながる可能性があります。
私道であっても道路交通法で定められているルールを頭に入れて、運転するように心掛けてください」
このように、私道は公道とは異なり、誰もが自由に通行できるわけでなく、道路交通法も適用されないのが基本です。
ただし例外もあり、すべての私道が無法地帯というわけではありません。
たとえば私道のなかには、不特定の人やクルマが自由に通行することを許可している道もあります。
さらに、道路交通法第2条では、道路とは「道路法、道路運送法に規定する道路などの他、一般交通の用に供するその他の場所」と定められています。
したがって、不特定の人やクルマが自由に通行でき「一般交通の用に供する」状態となっている私道の場合、道路交通法が適用される可能性があります。
私道に道路交通法が適用されるかどうかは、実際の使用状況に照らし、公共性が高いかどうかが判断ポイントとなってきます。
ひとつの例として「箱根ターンパイク」が挙げられます。
神奈川の箱根ターンパイクは、箱根ターンパイク株式会社が所有する私道であり、長さは約15kmにも及びます。箱根の山々を楽しめる有料道路であり、料金を支払えば誰もが走行可能です。
私道ではあるものの、不特定多数の一般車両が多数走る道路であるため、「みなし公道」として扱われており、道路交通法が適用されています。
箱根ターンパイクでは実際に警察による取り締まりもおこなわれており、交通違反をすれば、公道と同様に罰則が科せられます。
また、私道と似たものとして「農道」があります。
「農道」は、国土交通省ではなく農林水産省の管轄下にある道路です。文字通り農業のための道路であり、トラクターやコンバインなど農業用機械も走行できます。
同時に多くの農道では、農業用機械だけでなく、乗用車などの一般車両も通行できるようになっており、その場合は道路交通法が適用されるのが基本です。
ただし、根本的には農道も私道と同じように公道ではないため、道路交通法が適用されない農道もあります。さらには一般車両の通行を一切禁止している農道もあります。
農道は、あくまで農業のための道路であるため、農業優先であることを頭において走行する必要があります。
どんなに遅いトラクターが走っていても、コンバインや軽トラックなどが路肩に駐車していても、それをとがめることは難しいでしょう。
※ ※ ※
公道はもちろんのこと、私道であれ、農道であれ、不特定の人やクルマが自由に走行しており、「公共性」が高ければ、道路交通法が適応される場合があります。
また仮に道路交通法が適応されない道路であっても、何もかもが許されるわけではありません。
どのような道路を走っていても、走り方次第でクルマは凶器となり得ることには変わりないため、クルマで走る際には周囲に気を配り、安全運転を心掛けることが大切です。
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