都内の「環七/環八」はよく聞くけど… なぜ「環一から環六」は耳にしない? 「環●」と呼ばれない理由とは

「環一」から「環六」はなぜ「環◯」と呼ばれない?その理由とは

 このように、1927年の道路計画のとおり、東京には「環一」から「環八」まで8本の環状線が存在しています。

 ただ、「環七」や「環八」を除けば、実際にはほとんどの道路は別の通称名で呼ばれています。

 その背景には、これらの道路のほとんどが実際には「環状」ではなく、それどころか未着手の区間も多いため、実際に道を走るユーザーからすれば、「同じ道」には見えないという事情があります。

 例えば「環三」では、文京区を走る区間のほとんどが未着手です。

 計画では目白通りの古川橋交差点から春日通りの小石川五丁目交差点まで接続される予定ですが、実際にはまったくつながっておらず、ひとつの道路という印象はありません。

 これは、1927年に道路計画が立てられて以降、日本は戦時下に入ってしまったために、道路整備が棚上げされてしまったことなどに起因しています。

 また、都心部の道路にはすでによく知られた通称名があったことも「環三」などの呼び方が定着しなかった理由と見られます。

かつての「環六」はいまでは「山手通り」と呼ぶのが一般的
かつての「環六」はいまでは「山手通り」と呼ぶのが一般的

 一方、「環七」や「環八」は、当初から幹線道路として十分な幅や設備をもって整備されたことや、元々の呼び名があったわけではないことから、現在の呼び名が定着したようです。

 ちなみに、現在では山手通りと呼ばれることの多い「環六」は、1970年代ころまでは実際に「環六」という名でも呼ばれていました。

 しかし、「山手通り」の名は少なくとも1930年代には用いられていた歴史ある通称名であったことから、現代では「環六」と呼ぶ人は少なくなったようです。
 
※ ※ ※

 都市の中心を取り囲むように環状道路を整備し、そこに放射状の通りを組み合わせるという都市設計は、東京以外の地方都市や、世界各国の主要都市でも見られます。

 例えば、中国・北京やロシア・モスクワ、フランス・パリでは、きれいな環状線が都市を取り囲んでいます。

 ただ、東京のように8本もの環状道路計画があった都市はめずらしく、それだけ東京は人の往来が多い都市であることがうかがえます。

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