カーシェア「個室利用」は問題ある? 想定外の使い勝手に賛否両論も! 懸念すべき点とは
個室利用には多くの懸念点も、なぜ規制できない?
また、カーシェア事業者の規約に反することはなくても、道路交通法や各都道府県の条例に違反する場合がある点も問題視されています。
例えば、終電後の仮眠スペースとしてカーシェアを利用した場合、エンジンを掛けた状態で駐車し続ける行為は、東京都では「アイドリングストップ条例」の違反に該当します。
さらに、こうした利用がおこなわれる際には、飲酒状態にあることが考えられ、飲酒運転や酒気帯び運転に該当する可能性があります。
過去の判例を見ると、飲酒時であっても運転席に座ってエンジンを掛けただけでは「運転」状態にあるとは判断されないようですが、わずかでもクルマを動かすと飲酒運転や酒気帯び運転として検挙される可能性があります。
例えば、歩道からの視線をさえぎるなどの目的で、駐車場内でクルマの向きを変えたり駐車スペースを変更したりする行為は、明確な運転行為です。
そのほか、騒音や迷惑駐車など、想定される違反行為は少なくありません。
カーシェアの個室利用に関する負の側面に対し、インターネット上では「走行しなければならない、という規約を増やせばよいのでは?」という意見が多く見られます。
しかし、そう簡単ではないのが実情です。
カーシェアの個室利用を禁じること自体は簡単ですが、それによりユーザーの自由な利用が制限されてしまうことになります。
例えば、走行の直前で予定が変更となり、結果として0kmで返却するケースは個室利用とはいえませんが、規約違反となってしまいます。
車内での睡眠やテレビ電話に限定して禁止するのは、プライバシーの観点や技術上の問題で難しいというのが実情です。
いずれにせよ、禁止事項を増やして利用方法を制限することは、ユーザー満足度の低下につながってしまうため、カーシェア事業者としては本末転倒です。
実際、一部のカーシェア事業者では、ワークスペースとして利用することを推奨しているケースも見られます。つまり、カーシェア事業者にとっても、ひとつのビジネスチャンスとなっています。
近年ではクルマを保有しているユーザーのなかでは、愛車で仕事をしたり車中泊をしたりすることは決してめずらしくありません。
このように、クルマの利用方法が多様化している現代では、カーシェアのみ利用方法を限定するというのは、あまり現実的ではないのかもしれません。
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このように考えると、カーシェアの個室利用は今後もひとつのスタイルとして定着していく可能性が高そうです。
しかし、道路交通法や各種条例への違反や、一般市民やほかのユーザーに迷惑が掛かるような行為が乱発することになれば、遅かれ早かれそうした利用方法は規制されることになるでしょう。
ユーザーのニーズに合わせた自由な利用方法が守られるためにも、カーシェアの利用者は一定のマナーを持たなければならないようです。
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