斬新デザインの全長7mトラックが凄い!? 丸目の新型「路面清掃車」に期待! NEXCO中日本が採用した実力はいかに
旧東ドイツで誕生したマルチカーのルーツとは?
ハコのマルチカーは元々、冷戦真っ只中に東西分断されたドイツに端を発します。
1958年、ドイツ民主共和国(東ドイツ)の「人民公社ヴァルタースハウゼン車両工場」はマルチカー最初のモデル「M21」の生産を開始しました。
東ドイツには国内各地の自動車工場によって形成された共同体「車両製造工業協会(IFA)」というものが当時は存在し、東ドイツのクルマ「トラバント」を生産していた「人民公社ザクセンリンク」や、同じく「ヴァルトブルク」生産の「人民公社アイゼナハ自動車工場」などがIFAを構成していました。
マルチカーもIFA下で誕生したブランドですが、当時のIFAを構成していた会社・ブランドのなかでは唯一、現在も存在するブランドとなります。
東西ドイツは1989年に両国を分断したベルリンの壁が崩壊、1990年には正式に再統一が実現しました。
マルチカーを製造していた人民公社ヴァルタースハウゼン車両工場も1991年に民営化され、その際に会社名を現在の「ハコ」へと変更し、今に至ります。
高速道路会社で使用されているドイツ製のトラックと聞くと、メルセデス・ベンツが手掛ける「ウニモグ」が有名です。
そうしたなかで、マルチカー M31について飛鳥特装株式会社の担当者は次のように語ります。
「このマルチカー M31はウニモグと同じカテゴリーの異なるサイズのクルマととらえています。
多目的な用途に合わせて車両やアタッチメントの選択が可能です。
マルチカー M31はウニモグに比較してボディサイズが長さ7.0m×幅1.82m×高さ2.53m、車両重量5.7tとかなり小さく、メンテナンスのしやすさだけでなく、路肩が狭い日本特有の事情にも合致していると見ています」
さらに、アタッチメントを装着した状態でも「準中型自動車免許」で運転できるといい、近年、深刻となっている人手不足解消にも期待が高まります。
今回NEXCO中日本が採用した路面清掃車のアタッチメントの一部にはオーストリアの会社が製造するものも含まれていますが、同社では路面清掃以外にも草刈用途など、マルチカー用に用意されている300種以上のアタッチメントも車体と一緒に販売しています。
今後、各高速道路会社へのさらなるマルチカー M31の導入を目指して売り込みをおこなっていくとのこといい、目にする機会が増えていくかもしれません。
NEXCO中日本が導入した路面清掃車は現在、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の海老名インターチェンジ-相模原インターチェンジで本戦実装試験を実施中。
今後の正式導入に向けて、本番環境でテストをおこない、データを収集中です。