バイクの「高速休日割引」なぜ37.5%? 観光促進も利用方法は複雑… クルマの「30%割」とも異なる理由とは

NEXCO 3社及び宮城県道路公社を利用するETC二輪車を対象に料金を定率で割り引く「二輪車定率割引」を実施しています。この割引ですが、クルマとバイクで利用方法に異なる部分が多いようです。

2022年4月から「二輪車定率割引」とは

 2022年4月2日より、NEXCO 3社及び宮城県道路公社を利用するETC二輪車を対象に料金を定率で割り引く「二輪車定率割引」を実施しています。
 
 この割引ですが、クルマとバイクで利用方法に異なる部分が多いようです。

2022年4月から「二輪車定率割引」とはどんなもの?(写真:Photo AC)
2022年4月から「二輪車定率割引」とはどんなもの?(写真:Photo AC)

 本格的な夏のレジャーシーズンが到来します。しかし、ドライバーやライダーにとっては円安によるガソリンの高騰は頭痛の種のひとつです。

 2022年6月末現在でレギュラーガソリンの平均価格を比べてみると、47都道府県中でもっとも安い和歌山県が162.3円/L、もっとも高い長野県では181.1円/Lとなり、全国平均価格は170.9円/Lという高騰状態が続いています。

 ガソリン高騰によって行楽地へドライブに行くのも大変ですが、少しでも家計の助けになってくれるのが、高速道路料金の休日割引です。

 現在、NEXCO各社やJB本四高速、宮城県道路公社は、土日祝日の高速道路料金を30%割引しています。加えて、2022年4月からは二輪車定率割引も開始されました。

 この割引は、ETCを装着している二輪車で、土日祝日に100km以上高速道路を走行した場合に限って37.5%の割引が適用されるものですが、クルマとは異なり、ユーザー登録&事前申し込みなどの手続が必要となります。

 ちなみになぜ事前の手続が必要かというと、二輪車のETC車載器に入っている車種情報は軽自動車と同じ料金枠になっているからだといい、そのために休日割引などの適用を受ける前には申請が必要となります。

 しかし気になるのは、なぜクルマの割引率は30%なのに、バイクは37.5%なのでしょうか。NEXCO東日本広報部に問い合わせてみました。

「割引率については国の政策ということで、NEXCOなど高速道路を管理している会社に通達され、私どもはそれに基づいて実施しているという次第です。

 ですので、割引率の数字の根拠について分からないというのが正直なところです。割引率については管轄省庁の国土交通省におたずねいただけますでしょうか」

 何とも心許ない回答でしたが、素直に国交省に問い合わせてみることにしました。

 電話が繋がれた先は、道路局高速道路課。高速料金の休日割引率の数字の根拠を教えてほしいと伝えたところ、次のような答えが返ってきました。

「そもそも休日割引は、地方の観光促進が目的で始めたものです。

 自動車の割引率30%という数値は、観光促進に具体的な効果がある割引率として定められました。

 バイクはなぜ37.5%という半端な数値かというお問い合わせですが、こちらは先に実施しているツーリングプランという、やはり観光推進のための割引サービスの実績から鑑みて決めたものです」

 この回答に対して、筆者(山崎友貴)は「ツーリングプランの利用実績の統計データがあって、そこから算出されたものということか?」 とたずねたところ「ツーリングプランの実績ということです」と繰り返すばかり。

 どうも、その数字の根拠が曖昧な印象を受けます。ですか、国産バイクメーカー関係者からこんな実情に関する話が漏れ伝わってきました。

「二輪車業界はかなり前から、国内における二輪車需要の拡大のために、二輪車の高速料金引き下げを国に要望してきました。

 二輪車は道路専有面積や車重による道路へのダメージが少ないので、普通車料金の半額にしてほしいというものです。

 そしてようやく、2022年4月から二輪定率割引サービスが始まったわけですが、37.5%という割引率は“普通車の半額”ということから決められたようです」

 これはどういうことでしょうか。平日の通行料金を確認してみると、二輪車の料金は普通車の80%の額。

 ここからさらに37.5%分を引くと、ちょうど普通車料金の半額になります。土日祝日限定とはいえ「二輪車はクルマの半額の通行料金に…」という業界の要望に応えた形になったわけです。

 であれば、一層のこと平日も二輪車半額にすればいいと思うのですが、NEXCO東日本の広報に聞いたところ「あくまでも観光推進のための割引なので、通勤や商用が多い平日では効果が十分に出ないため」という、紋切り型の回答でした。

※ ※ ※

 ちなみにクルマの休日割引ですが、8月11日(祝日)、13日(土曜日)、14日(日曜日)のお盆中は渋滞を避けるために適用されないことになっていますが、一方の二輪車定率割引は通常通り、実施されることになっています。

 高速道路各社は休日割引以外にも、平日に使える「ドラ割」や「ツーリングプラン」といった割引サービスも実施しています。

 目的地、走行距離、日程によってこれらを使い分けることで、高速道路料金をかなり圧縮することが可能です。

 こちらも、二輪車定率割引同様にユーザー登録や事前申し込みが必要ですが、賢く使えばガソリンが高騰した分を節約できそうです。

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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