路肩の「謎スペース」実は造りかけ! 新線構想を物語る首都高の「イカの耳」3選

首都高を走っていると、路肩に謎のスペースが現れることがあります。これは将来の新線の接続を見越して予め造った通称「イカの耳」というものです。今回、首都高の道路網からイカの耳を3か所紹介します。

将来そこに道路がつながる…?

 首都高を走っていると、本線の路肩に使われていない三角形のスペースが現れることがあります。

 これは、分岐ランプや合流ランプを将来接続できるように準備された構造物です。その形から俗に「イカの耳」と呼ばれます。

5号池袋線の飯田橋付近にあるイカの耳。赤い矢印は編集部が加筆((C)Google)
5号池袋線の飯田橋付近にあるイカの耳。赤い矢印は編集部が加筆((C)Google)

 首都高は60年前の1962年に最初の区間である京橋~芝浦間(4.5km、現在の都心環状線と1号羽田線の一部)が開通して以来、現在も道路網の充実に向けて建設が続いています。

 その際、道路網の計画を踏まえて前もって造られるのがイカの耳です。このイカの耳を見ると、将来の道路網計画を垣間見ることができるのです。

 今回はそんな、首都高の各路線にひっそり存在するイカの耳を3か所紹介します。

●5号池袋線の飯田橋付近

 5号池袋線の飯田橋付近のカーブに、イカの耳があります。ここで5号池袋線と内環状線が分岐・合流する計画です。内環状線はここから神田川沿いに東へ進み、1号上野線と接続したあと、さらに東進して7号小松川線とつながるルートを走ります。

 飯田橋付近はイカの耳のほか橋脚も、梁を伸ばせるように突起が付いているなど、内環状線の準備工事が施されています。

 しかしこの内環状線は昭和時代に計画されたもので、時代が変わった今となっては、環境面や費用面などで実現は難しいかもしれません。

 ちなみに内環状線計画の存在を物語るイカの耳は、飯田橋のほか、1号上野線の岩本町付近、7号小松川線の両国付近にもあります。

●中央環状線の扇大橋~西新井橋付近

 中央環状線の扇大橋~西新井橋付近にもイカの耳があります。ここには、1号上野線が接続する計画です。

 1号上野線は現在、入谷出入口が起終点ですが、さらに北へ伸ばす「2期」構想があります。

 イカの耳がある中央環状線の接続予定地点は、内回りと外回りであえて高低差が確保されており、1号線の分岐・合流ランプを接続しやすい構造になっています。

●湾岸線の浦安出入口付近

 湾岸線の境川橋梁(浦安市)付近にもイカの耳があります。これは、首都高によると高速道路の新路線ではなく、並行する国道357号との出入口ランプ用といいます。

 境川橋梁付近は首都高湾岸線と並行して国道357号が走っています。国道は平面交差で近距離の交通を担う「4種道路」と、立体交差で流れを良くした中距離用の「3種道路」の2本立てで計画されており、東京都内の新木場や葛西、千葉県浦安市内の舞浜付近などは4種とともに3種も完成しています。

 しかしイカの耳がある境川橋梁付近の国道は4種のみで、すぐ近くにある浦安出入口もこの4種に接続しています。

 計画では、首都高と4種道路の間の空間に3種道路を通して、イカの耳と3種道路をつなげて出入口にするというものです。これにより浦安出入口(東行き入口と西行き出口)は、現在の位置から3種の位置へと少し移動することになります。

※ ※ ※

 このほか、神奈川3号狩場線の阪東橋出入口付近の本線にイカの耳が存在。これは掘割川の上空を通って湾岸線とつながる高速磯子線の接続を想定したものといいます。

 ちなみに5号池袋線の早稲田出口は、元は関越道の練馬IC方面へ至る高速練馬線の分岐予定地点に設けられました。

 この場所は池袋線開通時に練馬線用のイカの耳が造られていましたが、現在、イカの耳は早稲田出口に転用されています。

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