10年後は電気自動車が乗用車の“主役”になる? EV普及のカギ握る「越えるべき3つのハードル」とは

昨今はエンジン車から電気自動車へとシフトしつつありますが、将来的には電気自動車がメインになる日がやってきそうです。しかしその前に、電気自動車にはクリアしなければならないいくつかのハードルがあるのですが、それは一体何なのでしょうか。

EVとエンジン車、エネルギーコストの差はいくら?

 専門家の間でも電気自動車に対する評価が二分しているが、果たしてどうなるか。

 大局的に考えれば答えは出ています。20年後の乗用車は間違いなく電気自動車だと思う。早ければ10年かもしれない。

近い将来EVが主役になる日がやってくる
近い将来EVが主役になる日がやってくる

 それはなぜか。これはもう簡単な話で、液体燃料を使うエンジン車は、エネルギーコストという点で電気自動車に勝てないからだ。パワーユニットの歴史を見ると、“主役”はコストで決まってきた。

 ガソリンと電気のコストを考えてみたい。ガソリンという燃料の価格は、今後どうがんばってもリッター140円は下回らないと考えて良いだろう。

 ガソリンを効率良く使うと140円で最大28kmくらい走れるが、電気ならどうか。

 現時点でもっとも割高な電力である家庭用太陽光発電で大雑把に計算してみると、太陽光発電システムを導入し、保証期間の平均である15年使ったとすれば1kWhあたり20円。

 20円の電力で電気自動車を7km走らせられる計算となり、28km走らせようとすれば80円。ガソリンなら140円掛かるところを80円で済んでしまう。

 これだけエネルギーコストが違うと「移動の道具」としての効率は圧倒的に違う。

「蒸気機関車vsディーゼル機関車」や「ディーゼル機関車vs電気機関車」くらい違うといえ、迷う余地などまったく無いレベル。しかも太陽光なら、二酸化炭素を出さない。

 では、なぜ電気自動車が普及しないのか。

 それは、現時点で複数のハードルを越えていないからだ。逆に考えると、いくつか存在しているハードルを越えたら、エンジン車は電気自動車に勝てないと思う。

 どんなハードルがあるかといえば、皆さん認識している電気自動車の弱点です。以下、3つを考えてみたい。

 最後まで読めば「遠からず解決しそうですね」と思っていただけるに違いない。

●電池の寿命

 皆さん心配しているのが電池寿命だろう。携帯電話の電池って5年くらいで弱くなるし、電気自動車でも初期の日産「リーフ」でいえば、6年くらいで航続可能距離がガクッと短くなった。

 けれど直近の電池は、寿命が大幅に伸びている。

 テスラが使っている「リン酸鉄リチウム電池」なら充放電回数は3000回から4000回。1回の充電で300km走れたら、90万kmから120万kmを走った後でも1充電当たり80km程度の性能をキープ可能だろう。

 ちなみに、初期型リーフのリチウム電池は充放電回数600回程度。満充電で120km走るとすれば7万2000kmで80%になり、そうなると航続可能距離が100kmを割り込んで使いモノにならない。

 現在販売されている日本製の電気自動車は初代リーフと同じ三元系リチウム電池ながら、寿命が若干伸びて700回から800回。航続可能距離300kmとして24万km走れる。

 電池の進化や改良でエンジン車以上の寿命を持つようになります。

【画像】シートがまるでソファ!? 上質すぎる日産の軽EV「サクラ」の画像を見る(33枚)

【2024年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

13件のコメント

  1. 航続距離が一番の問題では?
    航続距離が長ければ充電待ちも少ないだろうから、少々(あくまで少々)充電器が少なくても充電時間が長くても困ることは少ないが、これを前提に考えないと値段にしろ、充電スポットにしろ電池寿命にしろ二の次の話だろう。

  2. 『国防』が一番の問題です。
    自衛隊関係者(幹部職員)に聞いて下さい。

    重油から精製して航空燃料、ガソリン、軽油と作ります。
    どれも国を守るには必須です。

    しかしどれも消費期限があり永久には保管できません。
    またコストの関係から日本で精製した物を外国へは運べません。
    そうすると全てを日本国内で循環消費する必要が有ります。

    仮にEV普及率100%になったらどうなるのか?もう分かりますね。
    余ったガソリンをコスト度外視で国外に輸出することになります。
    国民の税負担で。

    日本はヨーロッパみたいに戦争が始まったら陸続きの同盟国からどんどん物資を運べる訳じゃ無いですから。

    EV普及の鍵は国際平和です。

  3. 値段:大量生産されば安価にクルマが購入できるかも、半世紀以上前に販売された国民車スバル360軽自動車は、勤人月給1〜2万の時代に、乗出し価格40万越えでした。今から購入出来る方々はEVやPHVを購入すれば、20〜30年後にはEV車も大衆化し、頑張れば手の届くクルマになるかな⁈

  4. EVが、普及した後の充電池の大量廃棄の処理も問題だと思うけど?

  5. エネルギーコストって、ガソリンは揮発油税課税、電気は無税。
    ソリャ電気が安いに決まってるでしょ。
    でも今後もそうとは限らない。

  6. 燃費の件では、ガソリンには税金がかかっているが電気にはまだかかっていないので公平な比較にならないと思いました。いずれ、ガソリン税が取れなくなるとその代わりの税金の取り方が必ず問題になりますよね。

  7. もっとあります。それはいつ電力不足で、大停電が、起きるかわからないことです。原発は停止で、火力発電所も
    次々と閉鎖している中で、再生エネルギー頼みでは安定供給はできません。このままでは電気代が大幅値上げになりコスト的にも安いとは言えなくなります!!

  8. ガソリンには、ガソリン税58.8円/L、石油石炭税、地球温暖化対策税2.8円/Lが含まれています。EVにはこれらの走行課税を回避できるのでランニングコストが安く上がりますが、いつまでこれが見逃されるかはわかりません。
    正味のエネルギーコストは同等、車体価格は割高となれば、法規制がなければ売れる道理がない商品ということになります。

  9. 使用済みのバッテリーの廃棄や再利用の問題や、全車EV化するということは、バッテリーの供給が追いつくのか?またバッテリーの原材料の高騰化も避けられない上に、現在の国際状況で中国等のレアメタルが手に入るのか?
    電気を作るのもソーラーだけではダメですから火力なり原子力なりに頼る事にもなるが?
    水素エンジンの方が未来にとって良いと感じる事があるが、そちらはどうなってるのか?

  10. 電力供給の問題がいちばんだろ

  11. 石炭で動くEV。

  12. 現状日本はほぼev普及してないのに電力不足。
    そもそも日本は地球環境を壊してすらない。
    evは地球環境を壊してる国がやればいい。
    ev=恥と思わないとな。
    虎ノ門ニュースでも見て現実を知るといい。

  13. 全ての家庭で充電に入ったらどれだけの負荷が電力供給網に掛かるかを計算しないと末端の計算だけでは、合成の誤謬が起こるとおもう。将来の原子力発電に対する依存も考慮して計算された思考が必要です。そう考えると、とにかく車の使用頻度を減らすのが一番の解決策となるのでは。すなわち車から離れる社会を目指すということ。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー