なぜクルマが勝手に動く? 聞き慣れない「自然発車」現象で運転手が被害に遭う? 対策はどうする?
普段あまり聞く慣れない「自然発車」という現象。近年はこの自然発車を要因とした事故が増えているといいます。その被害に遭うのは運転手が多いようですが、この事故は一体なぜ起こるのでしょうか。
クルマが勝手に動く!? 自然発車って何?
クルマを駐車した後に起こる事故のひとつである「自然発車」。
ドライバーが巻き込まれることが多いといわれるこの事故は、一体なぜ起こるのでしょうか。
自然発車とは、警察が人身事故を取り扱うときに作成する「交通事故統計原票」(交通事故のデータ収集を目的とした調査票)で定義されている言葉のひとつです。
それによれば「運転手の運転行為以外の原因で車両等が動き出した事によって発生した交通事故」のことをいいます。
警察署の担当者によると「運転者のブレーキが甘いことにより、自分の意図に反してクルマが勝手に発進する」という自然発車。
交通事故総合分析センターのイタルダインフォメーション「交通事故分析レポート」によれば、2009年(平成21年)から2018年(平成30年)の10年間でこの自然発車による交通事故が2352件発生しています。
絶対数こそ少ないものの、内訳は重傷事故が387件、軽傷事故が1803件、そして死亡事故は162件も発生しています。
決して多いといえない事故形態の自然発車ですが、交通事故全体の死亡事故率が0.8%なのに対し、自然発車による死亡事故率は約11%と格段に高いことがわかっています。
死亡事故率が高い自然発車ですが、自然発車によって具体的にどのような事故が発生しているのでしょうか。
前出の担当者は、自然発車による事故について「ドライバーがクルマを降り、何らかの理由により動き出したクルマに気づき、止めようと努力したものの轢かれてしまったり、クルマが勝手に動き出し、そのまま電柱や壁などに挟まれてしまうといったケースは多い」といいます。
前述の同資料によると、自然発車による歩行者の死亡事故件数が101件なのに対し、運転手が死亡した件数は132件となっており、運転手が巻き込まれることが多い事故であることもわかっています。
また、重たく大きいトラックに発生しそうな自然発車ですが、同資料によると自然発車の人身事故を車種別で表した場合、乗用車が1192件、貨物車が1125件とほぼ同数となっています。
死亡事故件数だけでいえば、貨物車は乗用車の62件に比べて約1.5倍の91件になっていますが、重量が重い貨物車だけではなく乗用車にも起こりうる身近な事故といえるでしょう。
ちなみに、前出の担当者は自然発車が起こりやすい状況について「上り坂や下り坂などの勾配で起こりやすい現象となっています」と話します。
勾配3%以上の坂道で発生しやすいとされていますが、一見平坦な駐車場に見えても、わずかな勾配があるかもしれないので注意が必要です。
教習所で習うよなネタを記事にするの?