なぜ激レア「オリパラタクシー」が存在!? ブルーラインが映えるトヨタ「ミライ」を福島で走らせる理由とは
トヨタは「東京2020オリンピック/パラリンピック競技大会」のスポンサーとして、車両提供などをおこなっていました。大会終了後にはそれらの車両が中古車市場に流通しましたが、そのなかの1台となる燃料電池車の「ミライ」を福島のタクシー会社が購入して運行しているといいます。なぜあえてミライをタクシーとして導入しているのでしょうか。
福島だからこそ、意義があるFCV「ミライタクシー」を導入したワケ
2021年におこなわれた「東京2020オリンピック/パラリンピック競技大会」(以下、東京オリパラ競技大会)では、多くのトヨタ車が活躍しました。
大会終了後、中古車として販売されていましたが、そのなかの1台となる「ミライ」は、現在タクシーとして活用されているようです。
2021年7月23日から8月8日、同年8月24日から9月5日にかけて開催された東京オリパラ競技大会。
東京オリパラ競技大会では、選手の送迎や物資の供給などのため、約2700台のトヨタ車が活用され、街中では「ゴールテープ」がモチーフの幾何学模様のステッカーが貼り付けられた“オリパラ車両”が多数目撃されました。
採用された車両には、「プリウスPHV」「アルファード/ヴェルファイア」「ノア/ヴォクシー」「カローラツーリング」「ヤリスクロス」「GRヤリス」「ハリアー」などさまざまなトヨタ車が挙げられます。
そのなかでの1台がミライとなり、の水素を燃料として走行するFCV(燃料電池車)です。初代は2014年に誕生、現在では2020年に発売された2代目が販売されています。
東京オリパラ競技大会で活用が見られたのは初代モデルで、パラリンピックの閉会式後、順次トヨタ系列の中古車販売店にて販売されていました。
また、インターネットの中古車販売サイトでも見られ、ステッカーを残した状態で売買がおこなわれていました。
ミライを含むオリパラ車両は、現在その多くが新たなオーナーの手に渡り、SNSではときおり街中での目撃情報も見られますが、タクシーとして導入している会社があるようです。
ミライをタクシーとして導入したのは、福島県郡山市を拠点とするタクシー会社、郡山観光交通株式会社です。
郡山観光交通株式会社では、一般的なタクシーとしての採用が多いトヨタ「クラウン」や「コンフォート」といった車両も所有しており、全50台ほどのタクシーを運行しています。
そのなかの5台がミライとなっているようですが、なぜあえてFCVであるミライを導入したのでしょうか。
郡山観光交通株式会社の代表取締役である山口氏は、その理由について以下のように説明します。
「私どもは、昭和30年創業のタクシー会社になります。
東日本大震災の際に、福島県は、国の後押しもあり、復興の柱として再生エネルギーへの取組みを進めていました。
3、4年前には、浪江町に太陽光パネルから水素をつくる『FH2R』という研究所が建設され、そこで作られたグリーン水素は、東京オリンピックの聖火を燃やすエネルギーとしても使用されました。
福島県全体で、水素エネルギーに力を入れていくという方針があり、そこにトヨタ自動車が協力して水素燃料電池車を多く投入しようという流れもあります。
仕事上、このような国や県の方針を詳しく知る機会が多々あり、企業としても環境に配慮したこのような取組に積極的に関わっていかなければならないという考え、ミライの導入を決めました」
このように、郡山観光交通株式会社がミライを導入している背景には、国や福島県が推し進める復興や環境配慮といった、深い理由が挙げられます。
山口氏によると、はじめに2代目ミライを1台導入したのち、オリパラ車両の初代ミライを4台導入しました。
では、そんなミライを導入して、周りの反響はどうなのでしょうか。山口氏は、反響について以下のように話します。
「当然、昼も夜も街中で運行しています。やはり、走っていて目に止まりやすいので驚かれる人が多く見られますし、貴重な体験だと喜んでくれる人もいます。
ミライが良いという場合は、予約の段階でおしゃっていただければ、台数が限られますが、選んで予約いただくことも可能です」
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なお、福島県でミライをタクシーとして導入したのは、郡山観光交通株式会社が最初となり現在ではほかにもミライを活用しているタクシー会社があるようです。
郡山観光交通株式会社が購入したオリパラ車両のミライは約700万円だったといいます。
オリパラ車両は、総走行距離が少ないため、新車とさほど変わらない価格で取引されることもあるそうです。
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