カタログ燃費はウソなのか? クルマの実燃費と差がつくワケ

カタログ燃費と実燃費で差がつく理由、分かりますか?

 クルマの燃費性能を数字で示すのは、そもそも難しいことです。

 まずクルマは、どのような道を走るのかが決まっていません。まっすぐ平坦な道でブレーキを踏むこともなければ、もちろん、燃費は良いですよね。しかし実際の道路では、曲がり角があり、信号で止まり、坂を上ったり下ったりと、常に一定に走らせるわけにはいきません。そして、曲がり角や信号ばかりのルートで加速と減速を繰り返せば、当然、燃費は悪化します。

 さらにドライバーの個性もあります。急いで加速する人もいれば、ゆったりと加速する人もいます。もちろん、加減速の差が大きいほど燃費にはよくありません。また、乗っている人や荷物の重さも影響します。

 加えて、使い方も人それぞれ。エンジンはある程度、暖まらないと本来の性能が発揮できませんから、乗り始めからしばらくのあいだは燃費が悪いのです。そして渋滞も燃費には不利。たとえば「近所のスーパーまで渋滞のなか買い物に行く」といった状況は、燃費的には最悪になります。逆に、高速道路での巡航といったケースは、燃費的に有利になります。

 ひとくちに「燃費」といっても、実際の路上では状況がさまざまであるため、その時々により計算される数字はバラバラになってしまいます。そうしたなかで、一定の条件下における数字として燃費を示そうとするものが、カタログの燃費性能なのです。

 こうした事情もあり、カタログの燃費性能は大昔から「実燃費と違う」と言われ続けてきました。大昔のカタログには、「一定の速度で、まっすぐで平らな道を走行する際の燃費性能」が載せられており、ライバル車との比較には参考になりますが、実燃費との乖離は当然のように大きなものでした。

 そこで「モード燃費」という考え方が導入されます。加速したり、減速したり、一時停止するなどの状況を定めた条件下で燃費をテストしようという方法です。

 しかし、これでも実燃費とは合致しませんでした。それはそうでしょう。「モード燃費」といえども最高の数字を出したいのが自動車メーカーの本音であり、最高に条件の良いところで、最高に運転の上手な人が出した数字を使うからです。

 であれば、もっとリアルに近づけようということで、モード燃費は「10モード」「10・15モード」を経て、現在の「JC08モード」へと進化してきました。より実態にあわせた厳しい内容へと更新されてきたのです。昔と比べれば、徐々にではありますが、実燃費に近づいてきた。それが「カタログ燃費」の歴史です。

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