伝説の日産「スカイライン」が札幌で販売中、なぜ? ド派手カスタム施された完全再現仕様の正体とは
北海道札幌市の中古車販売店にて「シルエットフォーミュラ」仕様にカスタムされた日産「スカイライン」が販売されており、SNS上などで話題となっています。
往年の名レーシングカーを精巧に再現
北海道札幌市の中古車販売店で、ド派手にカスタムされた「シルエットフォーミュラ」風の日産「スカイライン」が出品されて話題となっています。
いったい、どういったクルマなのでしょうか。
シルエットフォーミュラとは、もともとは欧州などで人気のレースカテゴリーでしたが、日本では1979年の「富士グランチャンピオンレース」の前座レースとしておこなわれた「富士スーパーシルエットシリーズ」がはじまりです。
市販車をベースにしたレースではあるものの、実際には大幅な改造が施されるうえ、エンジンもレース専用に開発されたものが使用されるなど、ほとんどフォーミュラカーのようなたたずまいのマシンである一方で、ベース車両のシルエットは残っていたことから「シルエットフォーミュラ」と呼ばれました。
当初、マツダ「サバンナRX-7」や日産「フェアレディZ」、トヨタ「セリカ」などをベースとしたマシンが活躍していたスーパーシルエットシリーズ。
1982年に日産はスカイライン、「シルビア」、「ブルーバード」をベースとしたマシンを投入し、強力なライバルであったBMW「M1」などと激しいデッドヒートを繰り広げたことで、大きな人気を博しました。
こうした背景のなか、日産は1984年にモータースポーツ部門であるニッサン・モータースポーツ・インターナショナル(NISMO)を立ち上げ、本格的にモータースポーツ活動をおこなっていくことになります。
このように、日産にとって非常に重要な意味を持つスーパーシルエットシリーズですが、当時活躍したマシンは現在日産のヘリテージコレクションに収蔵されており、門外不出となっています。
しかし、今回話題になっているスカイラインは、当時のスーパーシルエットシリーズに参戦していたものの非常に精巧なレプリカとなっています。
ベースとなっているのは本家同様に6代目スカイライン(KDR30)の後期型で、いわゆる「鉄仮面」と呼ばれるモデルです。
グレードは当時「史上最強のスカイライン」というキャッチコピーが用いられた「2000RS」です。
赤と黒のツートンカラーはもちろん、シルエットフォーミュラの代名詞ともいえる超大型のチンスポイラーやリアウィング、そして各種デカールなどの細部に至るまで、限りなく本家に近づけられています。
心臓部に搭載された、2000ccの水冷4ストローク直列4気筒4バルブDOHCにターボチャージャーを追加した「FJ20ET型」エンジンもしっかりと整備されているほか、室内にはロールバーが組まれており、シートもスパルコのシートへと交換されています。
中古車販売店の担当者によると、中古車情報サイトにこのスカイラインを掲載してからすぐに問い合わせの連絡が多く届いているといいます。
価格については「応相談」とされていますが、700万円から750万円程度を想定しているようです。
同年式の一般的なスカイラインの中古車と比べると2倍程度の価格帯ですが、その完成度を見ると妥当な範囲といえるかもしれません。
ちなみに、このスカイライン、この状態で公道走行が可能であるということです。
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大胆なカスタムが施されたシルエットフォーミュラは、カスタム文化にも大きな影響を与えたといわれています。
なかでも、1980年代に流行したいわゆる「族車」カスタムはシルエットフォーミュラを強く意識しているといわれており、現在でも根強い人気があるスタイルです。
そういう意味でも、今回出品されたスカイラインのシルエットフォーミュラレプリカは、多くの注目が集まる個体といえそうです。
公道走行は可能だろうが一部のレース好きはさておいても、世間の目は単なる出っ歯車で族車と同じ扱いになるだろうな。