片道1000km! 「東京から山口まで!」タクシーで行ける? 長距離&高額請求は運転手にとってメリットある? 素直に喜べない事情とは

突然「東京から山口まで」、その時運転手さんはどうする?

 タクシーの運転手の人達にとっては、長距離移動に利用してもらえることはありがたいことだといいます。

 しかし、あまりに長距離すぎるとそれはそれでさまざまなリスクがともなうのも事実です。

 例えば、都内で営業するあるタクシー運転手は、道で手を挙げた男性から「山口県まで」と頼まれたことがあるといいます。

 都内のタクシー会社に所属するこの運転手は、まず事務所に連絡をし、山口県までの運行が現実的に可能かどうかを確認しました。

 長距離走行は、労働基準法などの法令に違反する可能性があるほか、「相番」と呼ばれる、同じ車両を利用して営業する同僚に影響があるためです。

 事務所に相談した結果、会社の規則などに則り、もうひとりのドライバーを乗車させた「ツードライバー制」で山口県を目指すことになりました。

 途中で食事休憩をはさみながら、山口県を目指した一行は、丸一日かけておよそ1000kmの道のりを走破。山口県に到着した頃には、メーターは40万円を超えていたそうです。

 当然、これほどの高額料金になることは想定できたため、支払い能力については事前に念入りに確認していたといいます。

 しかし、目的地の住宅街に到着したほんの一瞬の隙に、この男性は逃亡してしまったそうです。

 いまから15年以上前のことだったため車内に防犯カメラなどはなく、運転手の2人は泣き寝入りするしかなかったようです。

タクシーは長距離の方が儲かる? では突然「東京から山口まで」と言われた場合どうする?
タクシーは長距離の方が儲かる? では突然「東京から山口まで」と言われた場合どうする?

 この場合では、前述の大町市などのケースとは異なり、タクシーで移動する合理的な理由がほとんどありません。冷静に考えれば、かなり怪しいといわざるを得ません。

 ただ、タクシーでは正当な理由なく乗車を拒否することが法律で禁止されているため、単に「遠い」という理由だけで乗車を拒むのは、想像以上にハードルが高いという事情もあります。

 こうした万が一のリスクを考えると、タクシー運転手にとっては、「遠ければ遠いだけうれしい」というものでもないようです。

※ ※ ※

 とはいえ、支払い能力がないと判断されたり、今後の営業に支障をきたす可能性があったりする場合などには、長距離の乗車を拒否されてしまうことも考えられます。

 もし、タクシーで長距離移動をする必要がある場合には、事前にタクシー会社に電話するなどして、事情を説明するのが無難といえます。

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