超マイナーすぎ! 覚えてる人いる!? 三菱が誇る迷車・珍車3選
三菱の現行ラインナップは登録車がSUV、軽自動車がトールワゴン/ハイトワゴンが主力ですが、かつてはさまざまなジャンルのクルマを展開していました。そして歴代の三菱車には、かなりマイナーなモデルも存在。そこで、三菱が誇る往年の迷車・珍車を、3車種ピックアップして紹介します。
三菱が誇るドマイナー車を振り返る
三菱の自動車製造の歴史は古く、1917年(大正6年)には日本初の量産乗用車「三菱A型」の生産を開始していました。
当時の母体は三菱造船でその後は三菱重工業神戸造船所、そして戦後の1950年には三菱重工が3社に分割され、1970年に三菱自動車として独立し、現在はルノー×日産×三菱アライアンスの一員となっています。
三菱の現行ラインナップでは、「アウトランダーPHEV」に代表されるSUVと唯一無二のオフロードミニバン「デリカ D:5」、軽自動車は「eK」シリーズが主力ですが、かつてはさまざまなジャンルのクルマを生産していたのは、広く知られていることでしょう。
そうした歴代の三菱車のなかには数多く名車が存在する一方で、かなりマイナーなモデルやユニークなモデルもありました。
そこで、三菱が誇る往年の迷車・珍車を、3車種ピックアップして紹介します。
●カリスマ
前述のとおり三菱は2016年からルノー×日産アライアンスの一員となりましたが、それ以前にもクライスラー、ダイムラークライスラーと提携をして、クルマの共同開発をおこなっていました。
その前の1995 年には、欧州で三菱とボルボ、オランダ政府が共同で「ネッドカー」社を設立。
ネッドカーの工場で生産されたボルボ「S40」とプラットフォームを共有した兄弟車として、1995年に三菱「カリスマ」が誕生しました。
カリスマはミドルクラスの4ドアセダンと5ドアハッチバックセダンをラインナップし、欧州で高い評価を受け、1996年には1.8リッター直列4気筒ガソリンエンジンを搭載する4ドアセダンのみが、日本でも輸入車として発売されました。
車格的には当時販売されていた7代目「ギャラン」と5代目「ランサー」の中間に位置し、外観は比較的オーソドックスなデザインでしたが、スラントノーズのフロントフェイスがシャープで個性的でした。
しかし、カリスマはギャランやランサーに比べてアピールポイントが乏しく販売は不調で、1997年にはガソリン直噴のGDIエンジンに換装するテコ入れがおこなわれましたが、状況は好転することなく2001年に日本での販売を終了。
欧州でも2004年に生産を終え、鳴り物入りで設立されたネッドカー社も、2012年にバスの開発をおこなっていたオランダのVDLグループに売却されました。
なお、当時三菱が保有していたネッドカー社の株式約55万株が、1ユーロでVDLグループに譲渡されたことが話題となりました。
●ギャラン スポーツ
1990年代初頭の日本の自動車市場では、クロカン車を中心とした「RVブーム」が起こり、2代目「パジェロ」がブームのけん引役となって大ヒットを記録しました。
そして、このRVブームにあやかるため、各メーカーからクロカン車のイメージを取り入れたクロスオーバーSUVのようなモデルが数多く登場し、そのなかの1台として挙げられるのが1994年に発売された「ギャラン スポーツ」です。
ギャラン スポーツは7代目ギャランの派生車で、欧州仕様の5ドアハッチバックセダンをベースに開発されました。
外観はセダンの後部をハッチバックにつくりかえたオーソドックスなスタイルですが、上位グレード「SPORTS GT」ではフロントに小ぶりなバンパーガードと、屋根にはルーフレールを装着し、2トーンカラーを設定するなどRVらしさが表現されていました。
一方で、SPORTS GTには最高出力240馬力(5速MT)を誇る2リッターV型6気筒DOHCツインターボエンジンを搭載。駆動方式もフルタイム4WDシステムが組み合わされ、パワートレインはギャランの高性能グレードである「VR-4」そのもので、さらに大型のリアスポイラーを装備するなど、「GTRV」のキャッチコピーのとおり高性能GTカーというコンセプトも取り入れていました。
ギャラン スポーツは使い勝手の良い5ドアハッチバックボディに、高性能エンジンとフルタイム4WDを組み合わせた魅力的なモデルでしたが、販売台数は低迷。1996年に8代目ギャランが登場すると消滅し、販売期間はわずか2年ほどと短命に終わりました。
●パジェロジュニア フライングパグ
現在、小型クロカン車として唯一無二の存在となっているスズキ「ジムニー/ジムニーシエラ」ですが、かつてはライバル車が存在していました。
それが、1994年に誕生した軽自動車の「パジェロミニ」と、1995年発売の登録車「パジェロジュニア」です。
両車はシャシが共通で、パジェロミニは660ccエンジン、パジェロジュニアは1.1リッターエンジンを搭載し、バンパーやトレッドが異なるなど、ジムニーとジムニーシエラの関係と同じでした。
そして1997年には、三菱の販売チャネルのひとつである「カープラザ」設立20周年キャンペーンの一環として、パジェロジュニアをベースにした特別仕様車の「パジェロジュニア フライングパグ」が登場しました。
フライングパグの外観は第二次世界大戦以前に生産されていたモデルをモチーフにデザインされており、ドアパネルとキャビン上部、ルーフを除く外板は、ほぼすべて新規に設計されたクラシックカーテイストのモデルでした。
また、ボンネット前端には「スリーダイヤ」のクレストが装着され、ヘッドライトやフォグランプ、フロントウインカーランプは専用の丸型を採用し、テールランプも専用デザインとなっていました。
内装も木目調パネルのインパネや、プロテインレザー素材のシート、黒基調の内装色とするなど、クラシカルに演出。
軽自動車やコンパクトカーを中心に、内外装をクラシックカー風にカスタマイズした特別仕様車は珍しい存在ではありませんでしたが、フライングパグはそれらのモデルとは一線を画していたほど入念につくり込まれていました。
一方で、これほど大規模に手が入れられていたにもかかわらず、価格は175万円(消費税含まず)からとベース車の約20万円高に抑えられ、かなりのバーゲンプライスでした。
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三菱の高性能車といえば、古くは「コルトギャランGTO MR」や「ランサーEX ターボ」「スタリオン」があり、近年では「ギャラン VR-4」と「ランサーエボリューション」シリーズ、「FTO」「コルト ラリーアート」と、まさに名作の宝庫でした。
しかし、現行ラインナップから高性能車が消えて久しい状況です。
ところが三菱は、2021年5月20日におこなわれた2020年度決算説明会で「ラリーアート」ブランドの復活を宣言し、海外ではすでにラリーアートのコンプリートカーが発表され、国内では2022年3月に同ブランドのカスタマイズパーツを発売しました。
今後、ラリーアートの名を冠した高性能車の復活も大いに期待されています。
大々的に「GTRV」とCMをしてたのでギャランスポーツが車名ではなく、GTRVが車名だと思ってました。