「中国タクシー」に日本ナンバー装着! なぜ京都に導入された? 斬新グリルレスデザインに注目! 実車はどんな感じ?

e6の実車はどんな感じ? 実際に京都まで見に行ってみた!

 2022年4月初頭、導入されたe6を見るために都タクシーへ足を運びました。

 すでに営業用のナンバープレートは交付されており、公道も走行できる状態にありました。

 また、日本のタクシーには必須である自動ドアに関しては標準で装備していないものの、特注で製作した自動ドアがすでに取り付け済みです。

 タクシーの自動ドアは多くの場合がレバー式ですが、e6にはレバーの機構の搭載が困難であるという判断から、特別に電気式の自動ドアを設計したとのこと。

 これにより、簡単なボタン操作でドアの開閉が可能となったほか、外装に貼るデザイン、そしてタクシーとしての営業には欠かせないメーターの取り付けを待っている状態とのことです。

 e6の航続距離はWLTCモードで522km、荷室容量は580リットル、そして5人乗れる実用的な電気自動車です。実走行距離は350km-400km程度と予想されています。

 なお、都タクシーが最初に採用したM3eは7人乗れるミニバンではあるものの、一充電での実航続距離は250キロ前後でタクシーとしての使用にはやや不安が残るものでした。

 e6の価格に関しては一般社団法人 次世代自動車振興センターの資料によると385万円となっており、補助金として85万円が交付されます。

 日本独特のタクシー装備である特注の自動ドアの架装に費用が掛かるのがやや難点ではありますが、BYDは事業者から得たフィードバックを迅速に丁寧に製品に反映させ改善することで有名なので、実際の使用において出てきた不満なども速やかに解消されることが期待されています。

特別に電気式の自動ドアを設計して採用された都タクシーの新型e6(撮影:加藤博人)
特別に電気式の自動ドアを設計して採用された都タクシーの新型e6(撮影:加藤博人)

 今回は特別にe6の後部座席に座らせてもらってその走りを体験しました。

 まず驚いたのが、以前から採用されていたミニバンのM3eとの違いです。

 ベース車の違いはあるものの、内装の質感は遥かに向上しており、シートなどは座っていても疲れを感じさせません。

 また、乗り心地に関しても程よく硬めのセッティングとなっており、M3eでは感じていた重心の高さや、僅かながらの不安定さもe6ではまったく感じませんでした。
 M3eを良い意味で「普通に走る電気自動車」とするならば、e6はその上をいく「ワンランク上の電気自動車」という感想です。

 室内空間も広々としており、長距離の移動も苦では無さそうだと率直に感じました。

 日本で販売されるe6は当面、自治体・法人向けの販売に限るとしています。

 今回のようにタクシーだけでなく、営業車や送迎車、公用車など、使い道はたくさんあるに違いないでしょう。

 航続距離、乗り心地、実用性、そして車自体の完成度。どれをとっても素晴らしい車であるのは確かなので、今後日本国内でますます目にする機会が増えることを期待します。

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Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト

下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。

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