新型EV増えるも「インフラ」は大丈夫? 「量はあるも質に課題?」 大容量電池搭載車は今後どうなる?
EV側は高出力の充電器に対応しているが…
ただ、今後発売される予定の新型EVは、これまでのEVに比べてより大型のバッテリーを搭載する見込みです。
例えば、アリアでは66kWh-91kWh、bZ4Xとソルテラでは71.4kWhのバッテリーを搭載することが明らかにされています。
また、輸入車ブランドのEVでも60kWh-100kWhクラスのバッテリーを搭載するものも多く、バッテリーの大型化は今後も進む見通しです。
91kWhのバッテリーを搭載するアリアの「B9」を例にとると、50kWhの急速充電器であっても、80%充電までに1時間30分ほどの時間を要する計算となります。
これを30分程度の充電時間に抑えるためには、理論上150kWhクラスの急速充電器が必要です。
実は、アリア自体には130kWhクラスの急速充電に対応しています。さらに、bZ4Xとソルテラを含む、最新EVのほとんどが最大150kWhクラスの急速充電に対応しており、欧州などではそれに対応した急速充電器も普及しつつあります。

一方、日本においては、「急速」の定義が50kWhにとどまっており、グローバルから見ればかなりの差があります。
2021年には、神奈川県の大黒パーキングエリア内に、公共用としては初となる90Kwhクラスの急速充電器が設置されましたが、それ以上のパワーを持つ急速充電器の設置については現時点では未定という状況です。
また、急速充電器自体は設置されていたとしても、販売店の敷地内であるため、営業時間外の利用ができなかったり、他ブランドのEVでは利用しづらかったりといったケースもあります。
さらには、設置から時間の経過した充電器は老朽化が激しく、最新のものに交換する場合でも費用対効果が悪く、採算が取れないことから二の足を踏んでしまう例もあるようです。
このように、これまで電動化をリードしてきた日本も、充電事情に関しては課題も少なくありません。
これまでは、ガソリンスタンドに比べて充電スタンドの数自体が少ないことが問題視されていましたが、今後は、「量」に加えて「質」の面でも向上が望まれています。
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こうした課題に対して、自動車メーカーや各自治体、関連企業などが一体となって急速充電器の設置を進めています。
ただ、急速充電の規格に対する覇権争いは激化しており、日本のCHAdeMO方式が「ガラパゴス化」してしまう可能性も指摘されています。
この点以外にも、EVの普及に対しては非常に多くの課題が山積しています。
一方で、長期的視点に立てばEVを推進するメリットが多くあるのも事実です。
「ガソリン車 VS EV」という単純な対立構造でとらえるのではなく、さまざまな角度から議論を進めることが求められています。
Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明
自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。




















