国産旧車、約400台が「破壊」の危機に? GT-Rやスープラが壊される? 米国で「不正輸入」が大問題に! 盗難被害の「車台番号」公開!
どんな車種がどんな方法で不正輸入された?
フロリダでとくに不正輸入が多いというウワサは2012年頃から正しい輸入をおこなう業者によって指摘されていました。
2014年から2021年の間に1台1台の調査がおこなわれ、現在までに約400台が摘発されています。
不正輸入業者が逮捕され、2022年3月にそのうち約350台の車名、車台番号、購入時期などについてのリスト(わずかにドイツ車もあり)が公開されました。ほかにもフロリダではこれまでかなりの数の不正輸入がおこなわれたという情報もあります。
画像のリストにある文字の意味は「VIN(日本でいうところの「車台番号」)」、「SALE DATE(業者がアメリカの一般オーナーに販売した日)」、「TRANSFER DATE(オーナーに名義が移った日)」となっています。
筆者(加藤久美子)が調べたところ、とくに多い車種は以下のようになっています。
日産「スカイラインGT-R」(BNR32型/BCNR33型/BNR34型)など合計で88台
日産「シルビア(S15型)」30台
トヨタ「スープラ(JZA80型)」28台
ホンダ「インテグラ(DC2型/DC5型)」23台
ホンダ「シビックタイプR」14台
マツダ「RX-7(FD3S型)」7台
など、アメリカで人気があるスポーツタイプのクルマが多くなっています。なかには大変希少なモデルもあり、価格も1000万円以上という高額なクルマも多数含まれています。
ではこれら約400台の不正輸入車たちは、どのような方法で輸入されたのでしょうか。その前にアメリカに並行輸入でクルマを持ち込む主な方法をおさらいしておきましょう。
1.製造から25年以上経過している。(25年ルール)
2.25年以下であっても、FMVSSの安全基準などを満たしていること。
3.25年以下であっても「Show or Display」という方法(特定の車種を展示車両として輸入する場合。年間走行距離5000km以下に制限されることをはじめ走行に関する諸々の制限あり)
この3つ以外にも自動車メーカーや自動車関連産業が研究用や調査、テスト用に入れる方法も認められています。
これらの方法のなかでもっとも簡単な輸入方法が1.の25年ルール適用で、2.は実際のクルマで破壊試験などをおこなう必要があり、費用もかなり高額になります。
3.は歴史的、技術的な価値があるもの、生産台数が少ないなど特定の車種に限られます。
そして今回摘発された400台のクルマは以下の方法で不正に輸入されたことが分かっています。
・通関証明書のスタンプを偽造するなど虚偽の申告をして登録をおこなった
・虚偽の販売証明を作成(偽の住所や名前など)した
・FMVSSの基準に適合しているように見せかけた虚偽の書類を作成した
・製造から25年に満たないのに、25年経過しているように書類を偽造した
・アメリカ運輸省が発行したように見せかけた虚偽の車検証(のようなもの)を客に見せて安心させて販売した
このような方法が報告されています。
リストにある350台のなかには2012年から2020年頃に日本で盗難されたクルマが含まれている可能性もゼロではありません。
全車種のリストを掲載しているので心当たりのある人は車台番号を確認することをおすすめします。
車検証がなく車台番号が分からない場合は、当時加入していた自動車保険や自賠責保険、整備記録簿、ディーラなど販売店の記録などで確認することができます。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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