今のミニバンとは大違い! ヒンジドア×3列シートが流行ってた!? かつてヒットした背が低いミニバン3選
ストリームを完全にライバル視したトヨタのミニバンとは?
トヨタ「ウィッシュ」
2001年に登場したトヨタ2代目「カローラスパシオ」は全長4240mm×全幅1695mm×全高1610mmと全長が短く、3列目シートはあくまでも緊急用とするミニバンでした。
そのため、全長がより長いストリームに対して取り回し性に優れる一方で、スペースの上では不利だったのです。
そこでトヨタは2003年に「ウィッシュ」を発売しました。
基本的なメカニズムはセダンの「プレミオ/アリオン」と共通。ウィッシュのボディサイズは全長4550mm×全幅1695-1745mm(Zグレード)×全高1590-1600mmとカローラスパシオよりも全長が長くなったことから、3列目シートの実用性もストリーム並みになりました。
エンジンは、132馬力/17.3kg・mの(4WD車は125馬力/)1.8リッターエンジンのみで登場し、やや遅れて155馬力/19.6kg・mの2リッターエンジンを搭載する「Z」グレードを追加しました。
Zグレードは、樹脂製のオーバーフェンダーを装着。リアサスペンションをダブルウィッシュボーン式の独立懸架としたやや特殊なスポーティグレードですが、実際に街で見かけるのは1.8リッター搭載車が中心でした。
2リッターエンジン車は3ナンバーサイズであったことが少数派にとどまった理由だと考えられ、この点からもわかるように、ウィッシュはファミリー向けであることを特徴とし、スポーティさを前面に出したストリームとは正反対の性格だったといえます。
そして、ウィッシュは販売台数の点でストリームよりも優位に立ち、2009年に2代目へと進化。ところが、時代はよりファミリー向けの箱型ミニバンを求めており、ウィッシュは2017年に生産を終了しました。
マツダ「プレマシー」
「ファミリア」をベースとしたマツダ「プレマシー」は、全長4295mm×全幅1692mm×全高1570mmと、ストリームやウィッシュよりもやや小ぶりなサイズで1999年に登場しました。
エンジンは、ファミリア用の1.8リッターエンジン(135馬力/16.5kg・m)を搭載。2001年7月のマイナーチェンジでよりパワフルな2リッターエンジン(165馬力/18.1kg・m)を搭載する「スポルト」を追加しています。
スポルトは当時クラストップの出力を誇り、翌年から「Zoom-Zoom」を展開するマツダならではのミニバンになりました。
2代目以降のプレマシーはベース車を「アクセラ」に変更してサイズをやや大型化。2005年と2010年にフルモデルチェンジを受けました。
なお、2代目以降はリアドアがスライドドアに変更されており、ヒンジドアのミニバンではなくなっています。
また、スポルトこそ設定されませんでしたが、シャープな操縦性とスポーティさを感じさせ、ミニバンでも走りを重視するマツダならではのクルマに仕上がっていました。
3代目モデルの途中ではSKYACTIVエンジンと6速ATを搭載して燃費も向上。また、日産に「ラフェスタハイウェイスター」として供給されました。
日産によるとこの施策は、「ミニバンは日本独自の商品であり、日産は経営資源を他車に集中させつつ商品ラインナップを維持するため」とのことだったといいます。
当時ミニバンはまだ十分に売れていましたが、結果として市場は日産が予想した通りに変化。徐々にミニバン人気は後退し、プレマシーは2018年に生産を終了しました。
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今回紹介した3車種はすべて廃止となっていますが、これにはさまざまな理由が考えられます。
ミニバン一極集中傾向が薄れたこと、世界的にはSUVが主流になっていること、核家族の場合はミニバンが必要となる期間が10年間ほどで、この期間を「スポーツドライブをあきらめる期間」と割り切る人が多くなったことなどが挙げられるでしょう。
そのため、走りの性能も兼ね備えたミニバンが復活する可能性は、極めて低いといわざるを得ません。
そういう意味でも、ヒンジドアミニバンは、「ミニバンが認知されるまでの間に産まれた歴史的にもきわめて特殊なクルマ」になるのではないでしょうか。
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