「●●レッド」が多すぎる! なぜクルマの「ボディカラー名」は分かりづらい? 名称が複雑化する理由とは
自動車メーカーによってクルマのボディカラーは単に「赤」や「青」ではなく、「〇〇レッド」や「〇〇ブルー」など長く複雑な名称となっています。なぜ、メーカーでは複雑な名称を起用するのでしょうか。
ちょっと長くて覚えにくい? 名称にはイメージを伝える役割も
クルマのボディカラーは単に「赤」や「青」ではなく、「〇〇レッド」や「〇〇ブルー」など長く複雑な名称となっています。
なかには、色の名前が名称に含まれていないこともあり、口頭で聞いただけでは色をイメージできないものまでありますが、なぜメーカーでは複雑な名称を採用するのでしょうか。
ボディカラーの開発は、カラーデザイナーを中心として、メーカー独自におこなわれており、つけられている名称もメーカーによってさまざまです。
「赤」ひとつとっても、たとえば、トヨタでは「センシュアルレッドマイカ」、ホンダでは「プレミアムクリスタルレッド・メタリック」、日産では「ガーネットレッド」、マツダでは「ソウルレッドクリスタルメタリック」など、メーカーごとに異なる名称がつけられています。
ボディカラーを選択するユーザーの視点を考慮すると、あまりにも複雑な名称は覚えやすいものとはいえず、とくに長い名称に関してはカタログを参照しないと一言一句間違えずに復唱するのは難しいでしょう。
では、なぜメーカーはボディカラーの名称を単純な「赤」や「青」ではなく、複雑なものとしているのでしょうか。
ホンダの広報担当者は、ボディカラーの名称の選定について以下のように説明します。
「ボディカラーの名称には、その色のイメージや魅力を伝える役割を持たせております。
ただ制約も多く、『すでに商標登録されている名称は避ける』、『海外でも違和感なく受容される言葉である』などを考慮しながら役割を果たせるよう言葉選びをしています」
また、マツダの広報担当者も同様に「マツダでは、お客さまのライフスタイルに合わせたカラー開発をおこなっております。ボディカラーの名称は、そのカラーの世界観をお客さまにより深くイメージしてもらえるように選定しています」と説明します。
ボディカラーでは、名称はもちろん、同じ「赤」でも色味もそれぞれ大きく異なります。
ワインレッドのような深みのある赤もあれば、ピンクに近い赤もあり、人によって好む色彩はさまざまです。
例えば、前述したトヨタの「センシュアルレッドマイカ」は、「センシュアル(官能的)」というワードから、ポップで可愛らしい赤よりは、セクシーな深みのある赤がイメージされるでしょう。
一方、日産の「ガーネットレッド」は、鉱石である「ガーネット」の、目に映える鮮明な赤を思い浮かべる人が多いかもしれません。
メーカーでは、ユーザーがどんなシーンで、どのようにクルマを活用するのかを細やかに想定し、ニーズに即した色の開発に力をいれているそうです。
名称が詳細になることで、無意識的にユーザーに対してより具体的な色味を連想させる効果が期待できます。
なお、マツダの担当者はこのほかにも「ひとつのモデルに同じ系統の色が2種類ラインナップされるということもあり、カラーの差別化をおこなう効果もあります」と話しており、同系色のカラーの違いをわかりやすく表していることもうかがえます。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。