座っただけでテンションMAX! 秀逸なコクピットのスポーツカー3選
ドライバーがシートに座り、眼前に広がる光景といえば各種メーターとステアリングを配置した景色です。いわゆるコクピットは、スポーティなクルマほど緻密にデザインされており、ドライビングに華を添えています。そこで、秀逸なコクピットのクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
優れたデザインのコクピットを有する国産車を振り返る
ドライバーがクルマに乗り込み、最初に目に入るのが各種メーターを配置したメーターパネルとステアリングまわりですが、クルマによってデザインはさまざまです。
とくにスポーツカーといった高性能車では、運転席に座るだけでもドライバーのテンションが上がるような、機能的なデザインを採用しています。
この運転席まわり=コクピットで、重要な要素のひとつがメーターパネルで、1960年代から1970年代はいくつものアナログメーターが並んでいるのが高性能車の証でした。実際にエンジンのコンディションをドライバーが知る手段であり、視覚的に不調を察知することができました。
1980年代には液晶やLEDを使った先進的なデジタルメーターが登場し、高額なクルマから普及が始まると、一気に低価格なクルマにも採用されるようになりました。
そして現在は、液晶モニターに速度やエンジン回転数などのほか、各種インフォメーションを表示できるように進化しています。
そこで、往年のモデルから最新モデルまで、秀逸なコクピットのクルマを3車種ピックアップして紹介します。
●マツダ「RX-7」
マツダは1991年に、3代目となるピュアスポーツカーのアンフィニ「RX-7」(後にマツダ「RX-7」に改名)を発売しました。
曲面を組み合わせた流麗な美しいフォルムのボディに、最高出力255馬力(最終型では280馬力)を誇る654cc×2ローターのロータリー・シーケンシャルツインターボエンジンを搭載。
軽量なボディと優れたサスペンションによって、高い走行性能と運動性能を発揮し、シリーズの集大成といえるモデルでした。
このRX-7のコクピットはドライバーを包み込むような有機的かつタイトな設計で、クルマとの一体感を演出。各種スイッチ類はドライバーの操作性を重視したレイアウトを採用していました。
そして、3本スポーツのステアリングの向こうに見えるメーターはすべてアナログで、新世代のスポーツカーながらシルバーのベゼルによってクラシカルな印象のデザインとなっており、センターには8000rpmからレッドゾーンで9000rpmスケールの大型タコメーターを配置。
タコメーターの右にはスピードメーター、左側には小径の油圧計と水温計、燃料計が三角形状に取り付けられています。
また、2000年のマイナーチェンジではメーターのパネルがブラックからホワイトに変更され、よりクラシカルかつスポーティなイメージへと変貌を遂げました。
●ホンダ「S2000」
ホンダは1999年に、創立50周年を記念した事業のひとつとして、オープン2シーターのFRスポーツカー「S2000」を発売。
1970年に生産を終えた「S800」以来となる29年ぶりに復活したホンダのFRとあって、大いに話題となりました。
外観はFRスポーツカーらしいロングノーズ・ショートデッキのフォルムで、キャビンをリアアクスルの直前に配置。フロントフェイスもスピード感あふれるシャープなデザインです。
そして、S2000最大のトピックスはエンジンで、2リッター直列4気筒DOHC VTECは、自然吸気ながら最高出力250馬力を8300rpmで発揮。他を寄せ付けない高回転型の高出力エンジンでした。
室内はドライバーとの一体感をコンセプトとしたシンプルなデザインで、とくにインパネまわりは極力余計な加飾を排除。
センターコンソールにあるオーディオパネルはリッド付きで、主要なコントロール系はすべてステアリングまわりに配置するなど、走りに集中するためのコクピットとして徹底したデザインとなっていました。
眼前のメーターは液晶セグメント式のデジタルメーターを採用し、なかでもバータイプで9000rpmからレッドゾーンとなるタコメーターは、1980年代から1990年代のF1マシンをオマージュしたデザインです。
また、エンジンスタートはイグニンションキーを「ON」に回した後、右手にあるスターターボタンでセルを始動する方式を採用。
現在のキーフリー車では運転席に乗り込み、スターターボタンを押すだけでエンジンがかかりますが(もしくは走行システムが起動)、S2000では単なる利便性ではなく走らせる前のちょっとした儀式のようでした。
2000年には、世界初の車速応動可変ギアレシオステアリング(VGS)を搭載した「S2000 タイプV」が登場。ロックトゥロックは従来のクルマの約半分の1.4回転となっており、ステアリングは下部を水平「Dシェイプ」とするなど、よりフォーミュラーカーをイメージさせるコクピットとなっていました。
●日産7代目「フェアレディZ」
2022年1月14日に、日産は7代目となる新型「フェアレディZ」(日本仕様)を発表しました。
伝統的なロングノーズ・ファストバックスタイルのボディには随所に歴代Zのデザインエッセンスが散りばめられ、エンジンは歴代最強となる最高出力405馬力の3リッターV型6気筒ツインターボを搭載。
そして、内装もスポーツカーらしくタイトに作り込まれ、新世代のZにふさわしい洗練されたデザインです。
センターコンソールには空調のスイッチと、オーディオのコントロールとナビゲーションや各種インフォメーションを表示する液晶モニターを配置し、さらに、クルーズコントロールやオーディオコントロールのスイッチが配置されたステアリングの奥には、シリーズ初のフル液晶モニターによるメーターが採用されました。
メーターはセンターにアナログ表示のタコメーターがあり、左側にブースト計、右側には速度計、油温計、油圧計、水温計、ユニークなところでディファレンシャルギヤの油温計が表示されますが、まだ正式発表前で不明な点も多く、表示方法や表示するアイテムの変更が可能と思われます。
さらに、インパネ上部のセンターには、フェアレディZでは伝統的なサブメーターを装備。
3つのサブメーターはすべてアナログで、左が電圧計、右がブースト計でセンターはターボチャージャーの回転計となっており、0、5、10、15、20、25の目盛りで単位は「×10kRPM」と表示され、つまり最高25万rpmということになります。
おそらく走行中はブースト計とターボ回転計は連動して動くとみられますが、ターボエンジンを強調する非常におもしろい試みではないでしょうか。
新型フェアレディZは2022年6月下旬から、特別仕様車の「フェアレディZ プロトスペック」を皮切りに発売されます。
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最近のコンパクトカーや軽自動車といった比較的安価なクルマはタコメーターがなく、さらに水温計も搭載しておらず、低水温と高水温を知らせる警告灯に置き換わっています。
そのためもっともシンプルなメーターでは、速度計と燃料計のふたつがあれば足りるということです。
今のクルマはなにかアクシデントでも起こらない限りエンジンがオーバーヒートすることはなく、電子制御されたAT、CVT車ならオーバーレブありえませんから、合理的な仕様といえるでしょう。
機械式のアナログならまだしも、デジタル、液晶ディスプレイなら最低限のモノしかいらない。
目が本当に疲れる。
80スープラのコクピットを初めて見た時に一目惚れした。全部がドライバーの方を向いてる。