韓国「尿素水不足」が日本に波及? 価格が10倍まで値上がり? 日本の乗用/商用への影響はいかに
アドブルー高騰の背景には「転売ヤー」の存在?
ただ、日本ではアンモニアのほとんどを国内生産でまかなっているため、韓国のような事態になる可能性は低いという見方がほとんどでした。
実際に、資源エネルギー庁の発表によれば、2019年の日本国内のアンモニア消費量は約108万トンですが、約78.3%となる84.6万トンを国内生産で対応し、残りはインドネシアやマレーシアからの輸入しているため、ほぼ中国からの輸入に頼っていた韓国とは状況が異なります。
ただ、アドブルーをあつかう三井物産プラスチックでは、原材料価格の高騰を理由として2021年10月にアドブルーの卸売価格を1リッターあたり3.5円値上げしたほか、2021年12月6日時点で12月分の出荷可能量の上限に達したとして、アドブルーの受注を停止しています。
三井物産プラスチックでは、バックオーダーの処理が終わり次第受注を再開するとしています。
ただ、2022年2月に開催される予定の北京オリンピックで、米国やオーストラリアが外交使節団を派遣しない「外交ボイコット」をおこなうことを表明しているなど、アンモニア不足の根本的原因ともいえる米中関係の改善の見通しは立っていません。
一方、昨今の日本国内におけるアドブルーの急激な高騰の背景には、いわゆる「転売ヤー」の存在があるようです。
韓国での尿素水不足が報道されるようになった2021年11月頃から急激に高騰を見せているアドブルーですが、国内の在庫がまったくないわけではありません。
そもそも、日本ではアドブルーを必要とするクリーンディーゼルエンジン車は、諸外国に比べてそれほど多くはなく、前述の通り、アンモニアの多くを国内で生産しているという構造から、韓国のような状況になることは考えにくいとされています。
もちろん、尿素水はクルマ以外にも船舶や建設機械などでも使用されており、原料となるアンモニアは肥料用途などでも使用されているため楽観視することはできません。
また、原油価格高騰による輸送コスト上昇などもあり、かつてよりも卸売価格が上昇傾向にあることも事実です。
それでも、韓国とはそもそもアンモニアの供給体制が異なることを考えると、1リッターあたりおよそ1500円というインターネット上で見られるアドブルーの価格は異常といわざるを得ません。
また、実店舗でのアドブルーの価格は、地域や店舗により異なるものの、国産ディーラーの担当者は「アドブルー不足といわれていますが、当社では在庫もあるため既存車の追加補充であれば5リッター1500円です」と話しています。
一方で、カー用品の担当者は「1リッター880円となります。アドブルーは市場の在庫が不足していることから、最近では高騰しており今後の見通しは経っていません」といいます。
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多くのクリーンディーゼル車のユーザーにとっては必要不可欠なアドブルーですが、アドブルーの供給は近いうちに回復すると見られているため、異常な価格での購入には注意が必要です。
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