豪華なだけじゃなくパワーもスゴい! ラグジュアリーな高性能セダン3選

日本の自動車市場において、かつては隆盛を極めていたセダンですが、近年は人気も低迷してラインナップも少なくなってしまいました。しかし、セダンの魅力がなくなったわけではありません。そこで、ラグジュアリーであり優れた走行性能の高級高性能セダンを、3車種ピックアップして紹介します。

高級かつハイパフォーマンスなセダンを振り返る

 1990年代までは、日本の自動車市場で常にトップクラスの販売台数を誇っていたのがセダンです。ところが、ニーズの変化から次第に人気は下降していき、近年はセダンのラインナップはかなり減少してしまいました。

高級車でありながらスポーツカーと同等以上の性能を誇るセダンたち
高級車でありながらスポーツカーと同等以上の性能を誇るセダンたち

 しかし、セダンは優れた走りとユーティリティのバランスが良く、パーソナルカーとしてもファミリーカーとしても、大いに魅力的な存在です。

 また、今も高級車の代名詞といえばセダンであり、安価なモデルは少なくても、高額なモデルはラインナップも豊富です。

 そこで、これまで販売された高級セダンのなかでもパワフルなエンジンの高性能モデルを、3車種ピックアップして紹介します。

●レクサス「IS F」

エントリーモデルながらスーパーセダンへと仕立てられた「IS F」

 1989年にアメリカで誕生したトヨタの高級車ブランド、レクサスは、2005年以降に日本でも展開され、当初のエントリーモデルだったのが4ドアセダンの「IS」です。

 初代は国内モデルのトヨタ「アルテッツァ」をレクサス ISとして海外で販売していましたが、2代目からはレクサス独自のモデルとなりました。

 そして2007年には、ハイパフォーマンスモデルである「IS F」が登場。

 IS Fの「F」はレクサスの特別な高性能車に与えられるネーミングで、「Fスポーツ」と「F」単独があり、後者はサーキット走行も視野に入れて開発されたモデルです。

 レクサス初のFモデルとなったIS Fの最大のトピックスはエンジンにあり、フラッグシップの「LS600h」用5リッターV型8気筒自然吸気をベースにチューニングされ最高出力は423馬力を発揮しました。

 組み合わされトランスミッションも特別に仕立てられ、「LS460」用の8速ATをベースに1速以外のギアをほぼ全域でロックアップするプログラムを採用しており、DCTにせまるダイレクト感と変速速度を実現しながら、スムーズな発進加速を可能にしました。

 外観ではフェンダーを拡幅したワイドボディとされ、巨大なエンジンを収めるためにボンネットを膨らませてスペースを確保し、フロントフェイスもIS F独自のデザインとするなど高性能さをアピール。

 リアも左右4本出しのマフラーが装着されて後方も威圧的な印象なだけでなく、迫力あるエキゾーストノートを奏でます。

 内装では専用のスポーツシートとステアリングホイールが装着され、ラグジュアリーなスポーツカーといったイメージでした。

 この大パワーにふさわしく、強化されたサスペンションにブレンボ製ブレーキが奢られており、コンセプトどおりサーキット走行にも対応していました。

 その後、2014年にIS Fは生産を終了し、以降はラインナップされませんでしたが2021年2月にアメリカで、5リッターV型8気筒エンジンを搭載してIS Fの再来ともいえる「IS 500 Fスポーツ パフォーマンス」が発表されました。

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●日産「フーガ」

国内の日産車で最後の大排気量自然吸気エンジン車になるかもしれない「フーガ」

 かつて、日産を代表する高級セダンとして長い歴史を刻んでいた「セドリック/グロリア」ですが、2004年に生産を終了し、両モデルを統合するかたちでデビューした後継車が「フーガ」です。

 優れたサスペンションセッティングや、滑らかなボディラインと上質なインテリアは、それまでの日産車とは一線を画すとまでいわれたほどの意欲作でした。

 そして、2009年には現行モデルの2代目が登場。外観はグラマラスかつ流麗なシルエットが特徴で、2015年のマイナーチェンジではフロントフェイスとリアまわりのデザインを刷新すると同時に、安全運転支援システムを標準装備し、2019年にはさらになる安全性能の向上が図られました。

 搭載されるパワーユニットは最高出力225馬力の2.5リッターV型6気筒エンジンと、システム最高出力364馬力を誇る3.5リッターV型6気筒エンジン+モーターのハイブリッド、そして最高出力333馬力を発揮する3.7リッターV型6気筒自然吸気エンジンです。

 この3.7リッターエンジンは「Z34型 フェアレディZ」にも搭載されている「VQ37VHR型」で、出力はZよりも3馬力デチューンされていますが、7000rpmで最高出力を発生する高回転型であると同時に、優れたアクセルレスポンスの、まさにスポーツユニットです。

 また、スポーティグレードの「370GT タイプS」では、スポーツチューンドサスペンション、20インチアルミホイール、アルミ製対向ピストンキャリパーが装着され、4輪アクティブステアの採用と相まってコーナリング性能を高めています。

 もうすぐ国内仕様が発表される予定の新型フェアレディZでは、3リッターV型6気筒ツインターボ「VR30DDTT型」エンジンを搭載するため、日産の国内ラインナップではフーガが最後の大排気量自然吸気エンジン車となるかもしれません。

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●ホンダ「レジェンド」

まさにセダン版「NSX」といえるほどハイパフォーマンスな「レジェンド」

 ホンダは前述のレクサスに先駆けて、アメリカで高級かつスポーティなモデルを扱うアキュラブランドを立ち上げました。

 そのフラッグシップとして開発されたのが、1985年に日本で発売された初代「レジェンド」です。

 レジェンドはホンダらしさあふれるスポーティな高級セダンで人気を獲得し、その後も順調に代を重ねましたが、セダン人気の低迷とともに販売台数は減少し、2012年に4代目をもって国内販売を終了しました。

 ところが、2014年に5代目へフルモデルチェンジすると同時に、日本市場でも復活を果たしました。

 最大の特徴がパワートレインで、最高出力314馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒自然吸気エンジンと47馬力のモーターを組み合わせて前輪を駆動し、さらに左右のリアアクスルそれぞれに37馬力のモーターを搭載することで、システム最高出力は382馬力を誇ります。

「SPORT HYBRID SH-AWD」と呼称される3モーターハイブリッドシステムは、2代目「NSX」のものを前後逆にレイアウトした構造で、優れた加速性能とコーナリング性能を発揮するだけじゃなく、フラッグシップセダンに相応しい高い操縦安定性を実現。

 その後、2018年のマイナーチェンジでは、先進安全装備の充実とともにフロントフェイスが一新され、スポーティなイメージから、押し出し感や重厚感のあるフロングリルに変えられました。

 さらに2021年3月には、自動運転レベル3を実現した「レジェンド ハイブリッドEX・Honda SENSING Elite」を発売(リース販売)して大いに注目されましたが、2021年をもって生産を終了し、レジェンドの歴史は幕を下ろします。

※ ※ ※

 近年、セダンの減少は続いていますが、スバルは2021年11月25日に新型「WRX S4」の国内仕様を発表しました。

 新型WRX S4はアグレッシブなデザインの高性能なミドルクラスセダンであり、日本車では貴重な存在です。

 今後、さらなる新型セダンの登場はかなり厳しい状況のなか、スバルの英断といえるのではないでしょうか。

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