打ち上げ大成功! 人工衛星「みちびき」によって変わるクルマの未来とは?
より正確な測位で安全な自動運転も
今回打ち上げが成功した初号機後継機は、耐用年数を迎える初号機に替わるもので、将来的にはさらに3機が追加され、合計7機体制となることが決まっています。
では、みちびきは、どのように測位精度の向上を図るのでしょうか。
じつはみちびきは、GPS衛星と互換性のある信号を使いつつも、その軌道は日本に向けたサービスに特化しています。
GPS衛星はアメリカが全世界での測位を考えて構築していることから、それぞれの衛星は地球を周回する軌道を描いています。そのため、日本から衛星を見上げる角度が小さい場合は、山や高層ビルなどへの電波の反射の影響で、測位に誤差を与えることがありました。
しかしみちびきは「準天頂軌道」という、日本からオセアニア上空を南北に縦長の「8の字」を描く軌道を周回し、GPS衛星に比べより長い時間、日本の上空にとどまります。そのため反射の影響を受けにくく、より正確な測位ができるのです。
さらに、GPS衛星の信号とは異なる信号や技術を使い、自動運転を支援する超高精度の測位も可能としています。
ホンダレジェンドに搭載された「Honda SENSING Elite」は、みちびきの「SLAS(サブメータ級測位補強サービス)」、「SBAS(衛星航法補強システム)」で得た情報と、加速度センサー、ジャイロセンサーの情報を組み合わせ、車線を判別できるレベルの詳細な自車位置を判断します。こうした技術により、量産車として世界初の「自動運転レベル3」が実現したのです。
さらにみちびきには、自車位置測位の支援のほか、地震や津波などの情報を伝える「災危通報」のプラットフォームとしての役割もあります。
これは気象庁などが発表する情報をみちびき経由でデジタルサイネージなどの屋外設備、カーナビなどの車載機器に送信し、山間部など一般の手段では情報伝達が難しいエリアでも災害情報を迅速に入手できるという仕組みです。
パナソニックが10月に発表したETC2.0車載器「CY-ET2620GD」は、この災危情報に対応、カーナビなどとの接続なしに、気象庁から発表された緊急地震速報、津波警報、気象特別警報などを音声案内します。
みちびきの支援で安全な自動運転が実現、万一の災害情報もいち早く知り迅速に避難できる。そんなクルマ社会の到来が待ち遠しいですね。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。