なぜ猫はエンジンルームに入り込む? 乗車前にしておきたい「猫バンバン」ってナニ?

外気温が下がると、暖かい場所を好む猫がクルマのエンジンルームに入り込むことがあります。なぜ猫はクルマに隠れることがあるでしょうか。猫の習性や対処法など獣医師に聞いてみました。

人目を避けたい野良猫にとってクルマ周辺は絶好の隠れ場所

 秋から冬にかけて気温が下がってくると、駐車場にとめているクルマの周囲に猫が集まってくることがあります。

 暖かさを求めて、ボンネットの上や車両の下、エンジンルーム内にまで侵入してくる猫もいたりしますが、クルマのボディに引っ掻き傷がついたり、糞尿被害にあったり、クルマの所有者にとっては頭の痛いトラブルのひとつでしょう。

 なぜ猫はクルマ周辺に寄ってくるのでしょうか。

なぜ猫はクルマのエンジンルームに入り込む?
なぜ猫はクルマのエンジンルームに入り込む?

 昨今は「猫ブーム」といえる状況となっており、猫を飼う人が増えています。

 一方、昔はいたる所で見かけた「野良猫」は、ボランティアやNPO団体の尽力によって給餌活動だけでなく避妊去勢手術を受けさせたりすることで減少傾向だといいます。

 ただし、自分の縄張りを自由に往来する野良猫に関してはかなり以前から問題視されており、東京都の福祉保健局の調べによると、アンケートの回答者の約63.5%が「野良猫に対して迷惑に感じたことがある」と回答しています。

 とくに、駐車しているクルマ周辺には猫が寄ってくる傾向があり、実際エンジンルームに侵入した猫に気づかずエンジンを始動させてしまいJAFに出動要請したり、ディーラーや整備工場に持ち込まれるトラブルが少なからずあるのだそうです。

 猫がクルマの下やエンジンルームに潜り込む理由について、都内で動物病院を開業している獣医のE先生に話を聞いてみました。

「猫はもともと単独で狩りをする生き物で、独立心が強く他者に合わせる社会性はあまり持っていません。また、本能的に自分の身を守るために狭い場所や薄暗い場所などを好む傾向があります。

 なかでも野良猫は自由に生きているので警戒心も強く、駐車場に停まっているクルマは、そんな猫にとっては絶好の隠れ場所となります。

 クルマの下やエンジンルームなどは人目につかず、雨風もしのげるのですから、自分だけのセーフティゾーンと認識してしまうのです。

 そうなると、追い払ってもまたすぐ戻ってくるなど、なかなか出ていってくれないということもよくあります」

 ちなみに猫は「薄明暮性(はくめいぼせい)」と呼ばれる活動様式。これは夜行性でもなく昼行性でもなく、明け方や夕方に活動が活発化する性質を持っているのだそうです。

「猫は体温調整が苦手といわれています。体温はだいたい38.0度ほどで人間以上に温度差を感じやすく、とくに屋外の夜などはグッと気温も下がるので、野良猫にとって暖かい場所を探すことは死活問題です。

 そのため冬はエンジン熱で暖かくなったクルマの下やエンジンルームに入り込んでしまうのです」(獣医師 E先生)

 ただし、この行動は冬に限った話ではなく、猫がクルマの下やエンジンルームなど暗所に侵入するケースは多く、JAFには年間を通じてトラブルの救援依頼があるといいます。

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