手を使わず脳波で運転!? EV祭りのIAAモーターショーで初公開された注目の3台とは

IAAモビリティ2021で注目のEVとは?

 そんなIAAモビリティで目立つのは、EVの展示の多さです。

 メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲン(VW)、アウディ、BMWからはコンセプトカーや量産プロトのEVが数多く出展されています。また、サプライヤーのブースにも数多くのEVが飾られ、さらには超小型のマイクロEVも出展されている。まさにEV祭りといった様相です。

 そんななかで、注目のEVを3台紹介しましょう。

 まず、EVシフトの急先鋒であるVWが発表したのは、コンパクトなクロスオーバーEVである「ID.LIFE」です。

IAAモビリティ2021 VWブースでの「ID.LIFE」発表の様子
IAAモビリティ2021 VWブースでの「ID.LIFE」発表の様子

 ID.3 などと同じMEBプラットフォームを使った全長4mほどの前輪駆動車で、172kW(234馬力)のモーターを搭載し、0-100km/h加速は6.9秒の俊足を誇ります。

 搭載バッテリーは57kWhで、航続距離は約400km。セアトやシュコダ版も用意されます。ルーフは再生プラスチックのファブリックで簡単にオープン状態にすることが可能です。また、フロントガラスにスクリーンを設置して、プロジェクターで投影した映画を車内で楽しむこともできるのも魅力のひとつ。

 しかし、このモデルでもっとも驚くのは、2025年までに約2万ユーロ(約260万円)から販売するということ。もしも本当に実現すれば、相当のヒット作となることは間違いありません。

 メルセデス・ベンツのコンセプトEVは「ヴィジョンAVTR」です。

メルセデス・ベンツ「ヴィジョンAVTR」はユーザーの頭に装着したBCIデバイスで、脳波を分析して、クルマの機能を操作する
メルセデス・ベンツ「ヴィジョンAVTR」はユーザーの頭に装着したBCIデバイスで、脳波を分析して、クルマの機能を操作する

 有機的なボディ・デザインとインホイールモーターが目を引きますが、今回の展示の目玉は「ブレイン・コンピューター・インターフェイス(BCI)」。これは人とクルマではなく、脳とクルマを結び付けるという技術です。

 ユーザーの頭に装着したBCIデバイスで、脳波を分析して、クルマの機能を操作するというもの。SFの世界の話ではなく、リアルな技術としてメルセデス・ベンツはBCIに注目しているといいます。IAAモビリティの会場には、実際にユーザーが思考で操作することを体験できるブースが用意されています。

 最後に、BMWからはコンセプトEV「iビジョン・サーキュラー」が登場しました。

BMW「iビジョン・サーキュラー」
BMW「iビジョン・サーキュラー」

 名前にあるサーキュラーとは「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」を指すのでしょう。その特徴は、100%リサイクル可能を目指しているところです。

 全長4mの4座のボディや内装だけでなく、搭載するバッテリーも全個体電池とし、リサイクル可能とのこと。動力源をエンジンからモーターに変えるだけでなく、クルマの生産から廃棄までを見据えてのCO2排出を減らそうというコンセプトです。

※ ※ ※

 これ以外にも、VW「ID.5」やメルセデス・マイバッハ「EQS」、メルセデス・ベンツ「EQE」「EQB」「コンセプトEQG」、ポルシェの「ミッションR」、ルノーの「メガーヌE-TECHエレクトリック」、ポールスターの「ポールスター2」などが登場。夢のあるコンセプトから、実用化直前のモデルまで、多彩なEVが揃いました。

 EVシフトの渦中にあるドイツらしい展示内容ではないでしょうか。

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Writer: 鈴木ケンイチ

1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。

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