スバル新型SUV「レガシィ アウトバック」日本初公開! 国内唯一の「レガシィ」名称採用! 最低地上高213mmのタフ顔仕様は何が新しくなったのか
2021年9月2日、スバル新型「レガシィ アウトバック」が2021年9月2日に日本初公開ならび先行予約が開始されました。フルモデルチェンジとなった新型レガシィアウトバックとはどのようなモデルなのでしょうか。
新型アウトバックは何が変わった?
スバル「レガシィ・アウトバック」はフレーム付きの本格SUVを持っていないスバルが、北米市場での拡販のために1994年に2代目「レガシィ・ツーリングワゴン(BG系)」をベースにSUV化させたモデルとして登場しました。
当初はある意味“苦肉の策”といったモデルだったものの、「乗用車の走り」と「SUVの悪路走破性」を両立させるコンセプトは高く評価され、北米ではステーションワゴンを超える人気を獲得しています。
現在は弟分の「フォレスター」、末っ子の「XV」、さらに3列シートモデルの「アセント」とクロスオーバーシリーズのフラッグシップとして北米スバルの販売好調をけん引する重要な存在です。
日本では北米導入の1年後となる1995年に「レガシィ・グランドワゴン」として登場。
その後、1997年に「レガシィ・ランカスター」に改名(2002年まで)されましたが、4代目(BP系)から世界統一でアウトバックになっています。
エンジンは、自然吸気(NA)中心のラインナップで3代目(BH系)からトップモデルに水平対向6気筒をラインナップ。
さらにアイサイトのご先祖さまといわれるADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)も採用されるなど、日本ではツーリングワゴンに対して上級のキャラクターが与えられていました。
その後、5代目(BS系)ではツーリングワゴンが廃止され、アウトバックのみのラインナップとなりました。
日本市場ではこれまでのレガシィのキャラクターはレヴォーグが受け継いだので脇役になったものの、「あの居住性が欲しい」、「あのゆとりが欲しい」、「あのプレステージ性が欲しい」というユーザーが一定数存在していました。
そんななか、6代目となる新型(BT系)が登場しました。このモデルは2019年4月に開催された「ニューヨーク・オートショー2019」で世界初公開され、その年から発売もおこなわれています。
となると、「日本向けの導入が、なぜ2年も遅れたのか?」という疑問もあると思います。
その理由はいくつかあるでしょうが、筆者(山本シンヤ)は、同年10月の「東京モーターショー2019」で世界初公開された2代目レヴォーグを優先させたことや、さらに日本向けに最適化(パワートレインや運転支援システムなど)するために時間を要したと考えています。
では、新型はどのようなクルマに進化しているのでしょうか。
エクステリアはキープコンセプトではあるものの、実車を日の光の下で見てみると立体感のある造形で、より筋肉質でたくましさがアップしているのが良く解ります。
実は社内では「メカニズムを刷新したので、デザインも大きく変えるべきでは?」という議論もあったようですが、最終的には「変化のための変化」ではなく、「ユーザーの使われ方に対して考えるべき」という判断から、大きな変更をおこなわなかったといいます。
デザインイメージは「トレッキングシューズ」で、前後バンパーやクラッディングなどはアウトバックらしさを“より大胆に”表現されています。
ちなみにディテールを見ていくとグリル周りやフォグランプ、ホイールアーチ周りなどは北米仕様とは異なり、2021年1月に導入されたオーストラリア仕様に近い印象です。
この辺りは発売時期にタイムラグがあったからこそ、手を入れることができたといってもいいでしょう。
個人的には、2代目レヴォーグやマイナーチェンジ後(2021年8月)のフォレスターに近いイメージがプラスされたと思っています。
グレードによって表現が異なり、「リミテッド EX」はメッキ加飾や切削&ダークメタリック塗装のアルミホイール、クロスバービルトインタイプのルーフレールなどによりプレステージ性を引き上げたコーディネイト。
逆に「X-BREAK EX」はブラック塗装の加飾やダークメタリック塗装のアルミホイール、ラダータイプのルーフレールなどにより道具感が高められたコーディネイトに仕上がっています。
ボディサイズは全長4870mm×全幅1875mm×全高1675mm(リミテッド EX)/1670mm(X-BREAK EX)と先代よりもアップしていますが、実用上はほぼ先代とほぼ同等と考えていいでしょう。
インテリアは先代から刷新。縦型の大型ディスプレイ内蔵のインパネセンターやフル液晶のメーターなどは2代目レヴォーグとよく似ていますが、左右/センターの空調グリルやシフト周り(サイドブレーキスイッチの位置)など細部は異なるのと、横方向に余裕があることから伸びやかさを感じました。
オプション設定ですが「ハーマンカードンサウンドシステム」をセレクトできるのが嬉しいポイントです。ただ、欲をいえば液晶メーターだからこそ専用デザインを奢って欲しかったなと思います。
ちなみにインテリアコーディネイトはリミテッド EXがブラック×シルバーステッチ(ファブリック)に加えて、オプションでナッパレザーを用いた本革シート(タン×オレンジステッチ/ブラック×シルバーステッチ)を用意。
個人的にはタン×オレンジステッチがアウトバックの独自性を表現していると感じました。
X-BREAK EXはダークグレー×エナジーグリーンステッチ(防水素材)となっています。
すべての乗員が快適に過ごせる空間は先代譲りで、運転席で筆者(身長170cm)がシートポジションを合わせたときの後席の足元は、足を組んでもシートバックに当たらないほどの広さ。
さらに先代でも十分以上だったラゲッジスペースも長さ方向で約25mm拡大されているそうです。
もちろん、利便性も向上しておりハンズフリーパワーリアゲートやポップアップトノカバーなども採用されています。
評価基準も示さずに"最適化"って連呼されると、妥協の産物なんだろうなって聞こえるよね。
この感覚は、実際に製品開発をしたことのある人にしかわからないかもしれないけどね。