アストンマーティン「DBX」と「ウルス」「カイエン」の決定的な違いとは? 特別なフィーリングがもたらす美徳

扱いやすさは抜群、楽しさならヴァンテージ超えか?

 DBXで懸念があるとすれば、そこだ。ゆったりとした乗り味を楽しむということもまた、大型SUVをあえて街中で使うことの魅力だったりするはず。DBXにはドーンと構えて泰然とした乗り味がない。

 一方で、このビッグサイズをまるで感じさせないということは、乗りやすいということでもある。ただ背が高いだけのアストンマーティンなのだ。それゆえ高速道路を使っての東京から京都までのロングドライブも全く苦にならなかった。

 街中でのニンブルさが高速域ではまるで影をひそめ、4WDの恩恵もあってか、本格グラントゥーリズモのクーペモデルよりも安定した走りをみせる。もちろん、視線が高くキープされることで自然と安定した走行が可能という利点もあった。

「DBS」を含む全モデルが採用する、ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションとマルチリンク式リアサスペンションを、「DBX」にも搭載。機構はアストンマーティン初のエアサスペンションとなっており、最大95mm幅で車高を変えることが可能だ(C)橋本玲
「DBS」を含む全モデルが採用する、ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションとマルチリンク式リアサスペンションを、「DBX」にも搭載。機構はアストンマーティン初のエアサスペンションとなっており、最大95mm幅で車高を変えることが可能だ(C)橋本玲

●最も敷居の低いアストン、その心は

 京都に到着して、そのままホームコースのワインディングロードへと向かう。京都の狭い街中では視線の高さとキビキビとした動きが功を奏してとても走りやすい。全幅の広さが気になる街だが、丸みを帯びているにもかかわらず気にせずに路地も入っていける。嵐山高雄パークウェイに到着する頃にはすでにオールマイティさを確信していた。

 乗り手の心はすっかり実用車モードになっていたが、「よぉしっ!」と気合いを入れて、峠道を登り始める。野太く官能的なエグゾーストノートを発してDBXは上りの直線を駆け上がった。

 最初の右コーナーで、この先もこの道で愉しんで走っていけるという確信を抱く。ちょっと戦闘モードになってみれば、これはもうSUVじゃない。反則だ。

 乗っているうちにSUVであることを忘れ、ただ視線が高くて見通しの利く、コントロールしやすいスポーツカーになっていた。ひょっとするとヴァンテージより楽しめるんじゃないか? 否、要求されるドライバーの技量がより低くても大丈夫という点で、もっとも敷居の低いアストンマーティンだ。

「カイエン」も「ウルス」も「レヴァンテ」も、スポーツカーブランドらしくSUVとしてはかなりスポーティに走ってはくれるけれど、“SUVくささ”は抜けきっていない。どこかにSUVであることを感じる瞬間があった。けれどもDBXは違う。脇に立った時と、乗り降りする以外に、これがSUVだと思わせることがほとんどないのだった。

●Aston Martin DBX
アストンマーティンDBX
・車両価格(消費税込):2299万5000万円
・全長:5039mm
・全幅:2050mm
・全高:1680mm
・ホイールベース:3060mm
・車両重量:2245kg
・エンジン形式:V型8気筒DOHCツインターボ
・排気量:3982cc
・エンジン配置:フロント縦置き
・駆動方式:4輪駆動
・変速機:9速AT
・最高出力:550ps/6500rpm
・最大トルク:700Nm/2200-5000rpm
・0-100km/h:4.5秒
・最高速度:291km/h
・公称燃費(WLTC):6.98km/L
・ラゲッジ容量:632リッター
・燃料タンク容量:85リッター
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)Φ410mmベンチレーテッド・ディスク、(後)Φ390mmベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)285/40YR22、(後)325/35YR22

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