まさに我が道を行く!? とにかく個性を主張した車3選
各メーカーとも新型車を開発する際には、多くのユーザーに好まれるデザインとすることや新技術を投入することで、ライバル車に対してアドバンテージを築こうとします。しかし、ライバルの存在など考えていないような超個性的なモデルも存在。そこで、ユニークすぎるクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
とにかく個性を主張していたクルマを振り返る
毎年、世界中の自動車メーカーから数多くの新型車が発売されます。新型車を開発する際には、当然ながらライバル車の存在を意識して、より多くのユーザーに好まれるデザインとすることや新技術を投入することで、ライバル車に差をつけなければなりません。
一方、ライバル車の存在などあまり考えていないと思われるほど、我が道を行くようなクルマも存在。
そこで、見た目やギミックがユニークすぎるクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●ルノー「カングー ビボップ」
日本で販売されているルノーのモデルで、もっとも売れているのが「カングー」です。しかし、現行モデルの2代目は2021年7月に発売された限定車「カングー リミテッド ディーゼル MT」をもって生産を終え、日本での販売は国内在庫に限るようです。
カングーは欧州で日本のトヨタ「ハイエース」のような存在で、基本的には商用バンにカテゴライズされ、ボディ形状はミニバンもしくはトールワゴンのイメージです。
2代目は2009年に日本に上陸。初代からひとまわり大きくなったボディから「デカングー」の愛称で呼ばれています。
ボディタイプは2ドアショート、4ドアミドル。4ドアロングの3種類で、日本ではミドルのみが販売されていたのですが、この2ドアショートをベースした超個性的なモデル「カングー ビボップ」が、2010年に限定30台で販売されました。
全体のフォルムもショートホイールベースのトールワゴンなので非常にユニークなのですが、カングー ビボップは後席上部のガラスルーフが大きくスライドしてオープンになります。
さらに、リアウインドウもテールゲートに格納できるパワーウインドウで、すべて開ければ開放感満載です。前席上部も左右分割してチルトアップできるガラスルーフでサイドウインドウも大きいですから、とにかく明るい室内を実現しています。
カングー ビボップは4シーターでトランスミッションは5速MTのみと、かなり乗り手を選ぶと思いますが、他にはない個性的なクルマを欲しいという人には、ピッタリだったようです。
●フォード「Ka」
アメリカのビッグ3のひとつであるフォードは、北米以外への進出も古くからおこなっており、欧州にも半世紀以上前から開発と生産の拠点を置いています。
そして、欧州フォードはこれまで北米で販売しているモデルとは異なる独自の車種を展開してきましたが、その1台が1996年に誕生した「Ka(カー)」です。
Kaは3ドアハッチバックのベーシックカーで、最大の特徴は外装のデザインにあり、曲面と曲線によって構成された非常に個性的なフォルムを採用しています。
発売当初に搭載されたエンジンは、最高出力60馬力の1.3リッター直列4気筒OHVと、当時としてもかなり前時代的なものでしたが、後にSOHCエンジンに換装されました。
日本でも1999年から右ハンドル仕様が販売され、国産コンパクトカーと同等のサイズで装備も充実し、価格も150万円(消費税含まず)と輸入車ながら戦略的な価格設定を実現。
しかし、トランスミッションが5速MTのみの設定だったことが致命的で販売は低迷し、発売からわずか2年後の2001年に日本での販売を終了。
後に欧州ではスポーティな「スポーツKa」や、オープン2シーターの「ストリートKa」といった派生車がラインナップされましたが、2008年に比較的オーソドックスなデザインの2代目へとバトンタッチしました。
●トヨタ「セラ」
トヨタがつくるクルマというと堅実なモデルが多い印象がありますが、歴代車のなかにはかなり個性的なクルマも存在。
なかでも希代の珍車といえるのが、1990年に発売された「セラ」ではないでしょうか。
セラは、同時期に販売されていたコンパクトカー「スターレット」のプラットフォームをベースに開発された3ドアハッチバッククーペです。
全体のフォルムは比較的オーソドックスなファストバッククーペですが、最大の特徴はガルウイングドア(現在は「バタフライドア」と呼称)を採用していたことで、あくまでもデザインを重視した結果であり、実用的な意味はまったくありません。
いわゆるパイクカー的なセラでしたが、トヨタはバタフライドアを採用するにあたって周到なつくり込みをおこなっており、たとえばドアを支える油圧ダンパーには、気温差による作動への影響を防ぐため、温度補償機構が組み込まれています。
また、ルーフ部分も含めキャビンのほとんどがガラスで覆われていたことから、夏場には車内の温度上昇も強烈だったようで、当時のコンパクトカーでは珍しいオートエアコンを全グレードに標準装備していました。
一方で、当時の新車価格は160万円(東京価格、消費税含まず)からと安価に設定。かなりの開発費が投入されたと思われますから、激安ではないでしょうか。
しかし、あまりにも個性的すぎるセラはヒットするには至らず、1995年に生産を終了。まさにバブル景気を象徴するような1台です。
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近年は各メーカーとも保守的なデザインのクルマが多くなったようです。それも仕方のないことで、奇をてらったようなデザインは大いに話題となりますが、ヒットするとは限りません。
かつてに比べ、今はデザインツールや生産技術が進化しているので、これまで実現できなかったようなデザインも可能と思われますが、グローバルで販売するのが当たり前の状況では、デザインで冒険するのも難しいでしょう。
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