なぜ小排気量化がトレンド化? 「ダウンサイジングターボ」のメリットとは

ユーザーにとって、ダウンサイジングターボはどんなメリットがある?

 ダウンサイジングターボが登場した背景には、環境規制に対応する自動車メーカーの苦慮があるということを述べました。

 しかし、多くのユーザーにとっては、各国の環境規制や自動車メーカーの対応よりも、実際に自分が運転したり乗車したりするものとして、クルマをとらえることの人が多いでしょう。

 では、個々のユーザーにとって、ダウンサイジングターボはどのようなメリットがあるといえるのでしょうか。

 ダウンサイジングターボによってユーザーが受ける恩恵のなかで、もっともわかりやすいものは税負担の低減かもしれません。

 自動車に関する諸税のなかで、中核的な存在である自動車税は、原則的に排気量を基準として税額が決定されます。

 自動車税は、排気量の大きいクルマのほうが環境に与える負担が大きく、社会に与えるネガティブな影響も大きいことから、その所有者の税負担を大きくするべきという考え方に基づいているます。

 そのため、排気量の小さいエンジンを搭載することで自動車税の低減が見込めます。

 また、排気量を小さくすることで、エンジンそのものの重量も基本的に小さくなります。

 エンジンはクルマ全体のなか」でも最大級の重量物であるため、小排気量化は車重の軽量化に直結。重量税は自動車の重量をもとに税額が決定されるので、ここでも税負担が減る可能性があります。

 もちろん、ダウンサイジングターボを搭載することで燃費の向上が期待できるため、日々の燃料代も節約できるかもしれません。

 また、実際に運転するドライバーにとってもメリットは少なくありません。

 前述のとおり、ダウンサイジング化することでエンジン重量、そして車重の低減が期待できます。

 フロントにエンジンを搭載するFFやFRレイアウトのクルマでは、フロントが軽くなることで回頭性が高まり、軽快なハンドリングとなることが多いようです。

 大排気量車ならではの重厚な乗り味も魅力的ですが、ダウンサイジングターボにはダウンサイジングターボなりの魅力も少なくないようです。

スバル「レヴォーグ」は新開発の1.8リッターダウンサイジングターボを搭載
スバル「レヴォーグ」は新開発の1.8リッターダウンサイジングターボを搭載

 これだけのメリットがあるダウンサイジングターボですが、今後もこの流れは加速していくのでしょうか。

 かつてのF1マシンは1.5リッターエンジンで800馬力を超すパワーを発揮していたことから、技術的には排気量を小さくしても必要十分なパワーを得ることはできるでしょう。

 しかし、すでに成熟した技術である内燃機関のみでは、いずれ環境規制に対応できなくなります。

 実際に、現在世界各国で内燃機関車の新車販売を制限する方向で議論が進められています。

 つまり、前述のとおり、ダウンサイジングターボはあくまで「時間稼ぎ」のものであり、今後加速してくことはないと考えられます。

※ ※ ※

 電動化が進む昨今ですが、実際に街を走るクルマの多くがガソリン車(内燃機関車)というのもまた事実です。

 ガソリン車も電動車もそれぞれ一長一短があるため、自身のライフスタイルに合った選択をすることが、今後のカーライフではますます求められていくのではないでしょうか。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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