なぜ日本でこんなに人気? ルノー「カングー」の歴史と魅力とは
カングージャンボリーは日本最大級のファンミーティングに成長
2代目カングーは欧州で2007年、日本では2009年9月に登場しました。
4035mmの全長と1830mmの全高は微増ながら、全幅が1830mmと一気に増え、ホイールベースも100mm増の2700mmとなったことには賛否両論あり、関係者の間でも、はたして日本で売れるのかと危惧する声も当時はありました。
ところが、いざ売り出されると初代を上まわる勢いの売れ行きを見せ、一躍人気に。デザインテイストも初代とは変わりましたが、愛らしい雰囲気は変わらず、カングーならではの魅力はしっかり受け継いでいました。
ボディサイズの拡大は、車内空間の広さに直結しています。通常時660リッターから最大2866リッターという広さを誇るラゲッジルームは、大きな荷物を使うアクティビティや車中泊にも対応し、アウトドア派にもより受け入れられました。バックドアがすべて観音開きとされたのも評判になりました。
ほどなく、カングーはさまざまな仕様の限定車が頻繁に設定されるようになったのも特徴で、出れば売れる状況は続きました。さらには、2010年にはショートボディとともに変速的なオープントップを取り入れ、パイクカー的なキャラクターとした「カングー・ビボップ」も発売されました。
一方で、2013年8月にマイナーチェンジを実施。現行の後期型フロントフェイスとなったのは、むろんルノーの方針によるものです。これまた賛否両論が巻き起こり、どちらかというと当初は否の声が大きかったように思いますが、時間の経過とともに新しいカングーの顔として受け入れられていきました。
マイナーチェンジではもうひとつ、パワートレインのアップデートも注目でした。
2代目の登場当初のエンジンは、105馬力にやや出力向上した1.6リッター自然吸気が搭載されたが、200kg以上も増えた車両重量に対しては力不足な印象が少なからずあったのは否めません。2016年に、待望の1.2リッターターボエンジンに2ペダルの6速DCTを組み合わせたモデルが追加されると、待っていた人は少なくなかったらしく、カングーの売れ行きは盛り返しました。
近年の日本国内でのカングーの販売台数は、2018年が2164台、2019年が2386台、2020年が2388台。そのうちMT車が、それぞれ273台、237台、178台となっています。モデルライフ終盤でも安定して売れていることと、MT比率が一時期よりもだいぶ低くなったことが見て取れますが、それだけDCTで満足する人が増えたということでしょう。
※ ※ ※
カングーがこうしてウケているのは、この他にはない雰囲気と、十分な利便性と広さにほかなりません。ボディサイズから想像するよりも車内は広々としていて、アイポイントが高く運転もしやすい。そして後席は3人分のスペースがほぼ対等に確保されているので、横に3人座ってもぜんぜん窮屈ではありません。
小さな子どもふたりとお母さんが座るにはもってこい。いたれりつくせりの日本のミニバンに慣れると、スライドドアが電動でないことを不便に感じるかもしれませんが、天井に設けられたちょっとしたストレージは見た目にもユニークです。
カングーといえば、毎年5月に開催される「カングージャンボリー」という一大イベントがあるのを知っている人もいることでしょう。
2008年に始まった同イベントは、いまでは日本最大級のファンミーティングに成長しており、2020年はコロナウイルスの影響によりオンラインで実施されたが、リアル開催された2019年には、じつに5011人もの参加者と1700台を超えるカングーが集まったといいます。
このイベントはカングーオーナーに限らず車種を問わず参加可能で、2021年は秋以降の開催が予定されています。こうしたイベントをキッカケに、仲間に入りたい!と思った人も少なくないことでしょう。次のカングージャンボリーが開催されるころには、次期型カングーが日本で初お目見えするかもしれません。
これまでとはガラリと変わったデザインには、またしても賛否の声がある模様です。思い起こせばカングーの歴史は、そのパターンが多い気もしてきますが、次期カングーも日本のファンにどのように受け入れられていくのでしょうか? 興味を持って見守りたいと思います。
輸入車としては安いから良かったけど、新型は高そうな気がする。
並行ですけど、写真にグランカングーがありませんね