ホンダ新型「インテグラ」日本導入の可能性はある? 北米アキュラで復活させる事情とは
ホンダではなく、アキュラからインテグラが復活する理由は?
ではなぜ、16年ぶりにインテグラが復活することになったのでしょうか。
しかも、今回のアキュラ発表では先代(4代目)名称のRSXではなく、インテグラとしていることも大いに気になります。
考えられる理由は、アキュラブランドの大規模な立て直しです。
販売状況を見ると、ホンダ全体でのアメリカ販売台数は直近の2021年7月で13万5542台。このうち、アキュラは11%の1万4850台にとどまります。
アキュラ販売台数の内訳としては、コンパクトSUVの「RDX」が全体の39%。以下、ミドルサイスSUVの「MDX」が29%、ミドルサイズセダンの「TLX」が19%、コンパクトセダンの「ILX」が13%、そして2022年に生産中止が決まった「NSX」は7台でした。
アキュラとして今後さらになる進化を遂げるため、構成するモデルラインナップの刷新も考えられる時期でしょう。
また、ホンダはグローバルで2040年にEV/FCV化100%実現を掲げており、ホンダの主戦場であるアメリカでも今後、電動化シフトを加速させるべき時期です。
ホンダとしてはアキュラを含めたブランド戦略の再構築が必要な時期に差し掛かったといえます。
そうしたなか、あえてこのタイミングで、アキュラ RDXではなく、アキュラ インテグラ復活を決定したのは、電動化シフトによってアキュラの差別化が難しくなるなか、スポーティ性を重んじたアメリカ生まれのアキュラを“原点回帰”させる必要があったのではないでしょうか。
ホンダのインテグラとしてではなく、アキュラのインテグラという立ち位置が、ホンダのこれからを左右する大きな意味を持つのだと思います。
ホンダは2024年、SUVのEVであるホンダ「プロローグ」と、その兄弟車をアキュラブランドからアメリカで発売することを明らかにしています。
次期インテグラがフルEVで登場する可能性は低いと思いますが、e:HEVを応用したスポーティな電動車として次世代のホンダ全体を牽引するシンボリックな存在になるのではないでしょうか。
このように、ホンダにとってインテグラ復活は、アメリカ市場を中心とした次世代事業戦略の重要案件であり、軽とミニバンが主軸である日本市場を強く意識しているとは思えません。
ただし、日本市場では「S660」、「クラリティ」、「オデッセイ」、レジェンド、NSXなどが次々と姿を消すなか、新型シビックに6速MT搭載車を先代から引き続きラインナップするなど、ホンダのスポーティ精神を取り戻すべく新たなる動きが出ていることも事実です。
そのなかで、ユーザーから日本でのインテグラ復活を望む声があれば、ホンダとしては限定発売など、何らかの対応をする可能性は残されているのではないでしょうか。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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