天皇皇后両陛下が乗られる「御料車」はどんなクルマ? 通常のナンバープレートが装着されない訳

ニュースなどで天皇皇后両陛下がクルマの後席にお乗りになられている様子が度々報道されています。こうしたクルマを「御料車」と呼びますが、どのようなものなのでしょうか。また、一般的なナンバープレートは装着されていませんが、なぜなのでしょうか。

天皇皇后両陛下がお乗りになられているクルマには、ナンバープレートが無い?

 天皇皇后両陛下がクルマの後席にお乗りになられている様子は、度々ニュースで報道されています。
 
 しかし、よく見ると通常のクルマが装着するナンバープレートが付いていないことが確認できます。なぜなのでしょうか。

「祝賀御列の儀」で天皇皇后両陛下が乗車されるオープンカー=2019年10月7日、皇居内(時事)
「祝賀御列の儀」で天皇皇后両陛下が乗車されるオープンカー=2019年10月7日、皇居内(時事)

 2019年11月10日におこなわれた「祝賀御礼の儀」では、天皇皇后両陛下が黒塗りのオープンカーにお乗りになってパレードしており、沿道でその姿を目にしたことのある人もいるかもしれません。

 こうした両陛下が乗られているクルマは、「御料車(ごりょうしゃ)」と呼ばれており、現在はトヨタの最高級乗用車である「センチュリー」をベースに特注車としてつくられた「センチュリーロイヤル」が使用されています。

 また、パレードに使用されたのも、市販のセンチュリーを改造してつくられました。

 御料車の「御料」には「高貴な人・もの」という意味があり、宮内庁では御料車について「天皇皇后両陛下がご乗用になる車両」と定義しています。

 センチュリーロイヤルのボディサイズは、全長6155mm×全幅2050mm×全高1780mmとなっており、センチュリーのボディサイズ全長5335mm×全幅1930mm×全高1505mmと比べて、それぞれ拡大されています。

 全長は、センチュリーよりも885mm延長され、ストレッチリムジン化されており、3列シート仕様になっています。

 全幅は120mm拡大されており、全高は275mm高く天井が高く窓が大きくつくられ、乗車中の両陛下のお顔が沿道からも見えやすくなっています。

 そんな御料車には、一般車のようなナンバープレートが取り付けられていないことが確認できます。

 道路運送車両法の第19条では「自動車は自動車登録番号標を国土交通省令の定める位置に、かつ被覆せず自動車登録番号の識別に支障が生じない方法で表示しなければならない」と定められており、すべてのクルマにナンバープレートの取り付けが義務付けられています。

 テレビや写真に映る御料車をよく見てみると、通常のナンバープレートが取り付けられる位置には、黒いプレートに菊の御紋が取り付けられていますが、それとは別に、小さくて丸いバッジ状のプレートが装着されています。

 この円形の小さいプレートこそ本当のナンバープレートで、天皇皇后両陛下専用のナンバープレートとされており、道路運送車両法施行規則第11条第2項では、「円形のナンバープレートは直径100mmの円形とし、銀色の梨地と呼ばれるメッキ処理を施し、その梨地の上に金色で上段『皇』、下段に数字を表示するように」という規定があります。

 御料車のナンバープレートについて、宮内庁の担当者は以下のように話します。

「御料車には円形状のナンバープレートがつけられており、1から9までの数字が4と6以外を除いて割り振られて付けられています。

 具体的にこの番号よって、このクルマを用いるというのは決められていませんが、国会の開会式では1番が用いられます。

 それ以外は、『御料技官』と呼ばれる御料車を運転する者が適宜で決めて運転しています。

 また、天皇陛下の祝賀御列の儀で用いられていた皇10と付けられていたオープンカーは、宮内庁のクルマではないため、内閣府に返されており、宮内庁にはもうありません」

 2019年の祝賀御礼の儀で用いられたオープン仕様のセンチュリーは「皇10」のナンバーの取り付けがされていましたが、宮内庁は9番までの御料車を保有しているようです。

 一方で、御料車には品川ナンバーが付けられたクルマが、度々見受けられることがあります。

 これについて前述の担当者は、「式典のときは皇ナンバーが用いられていますが、両陛下の私的なご用件の場合には品川ナンバーのおクルマが使われる場合があります」と話しています。

 前述のリムジン型である御料車に加え、一般的なセダン型の御料車や品川ナンバーの御料車も用いられており、式典や公的な要件、私的行事など、それぞれ使い分けがなされているようです。

 なお、公的なお出ましでは、御料車およびそれに準ずる車両が使用されますが、それ以外の移動では各皇族方が所有する車両が利用される場合があります。

 これは「私的利用車両」と呼ばれ、原則的に皇室費用で購入・運用され、前述のセンチュリーを始めトヨタ「アルファード」、三菱「ディグニティ」などが用いられているようです。

※ ※ ※

このような御料車は、車検や税金はどのようになっているのでしょうか。

 前述の担当者は、「一般のクルマ同様に車検や税金も対象となっています」と話します。

 実際に、皇室のクルマの写真をよく見ると、ルームミラーの位置に車検ステッカーが貼り付けられており、車検を通していることが確認できます。

 御料車の車検・整備は、宮内庁管理部車馬課の自動車班に所属する、自動車整備士の資格を持った職員がおこない、検査証上の所有者は宮内庁になっています。

 また、御料車は自家用車として取り扱われるため、車庫証明、自賠責保険の契約、自動車重量税の納税が必要です。

 ただし、自動車税は、自治体などが保有する一般の公用車と同じように免除されています。

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