なんと30年、40年以上も販売されている車がある? 超ロングセラーSUV3選

昭和の時代には新型車が登場すると、次のフルモデルチェンジまでの期間は4年というのが一般的でした。近年、このモデルサイクルは延びており、およそ6年から8年というのが主流ですが、10年以上もフルモデルチェンジをおこなわないケースも珍しくありません。そこで、意外なロングセラー車を3台ピックアップして紹介します。

長年フルモデルチェンジをおこなっていないロングセラーなSUVを振り返る

 2021年8月2日に、トヨタ新型「ランドクルーザー」が発売されました。実に14年ぶりとなるフルモデルチェンジで、先代の200系ランドクルーザーは国産車のなかでもかなりのロングセラーだったといえるでしょう。

10年どころじゃない超ロングセラーなクルマたち
10年どころじゃない超ロングセラーなクルマたち

 かつて昭和の時代には、フルモデルチェンジのサイクルは4年程度が一般的でしたが、近年は延びる傾向にあり、概ね6年から8年というのが主流です。

 実際に、現行モデルでは日産「GT-R」やもうすぐ新型のデビューが控えている「フェアレディZ」、トヨタ「ランドクルーザープラド」、三菱「デリカD:5」など、10年以上フルモデルチェンジをおこなっていないロングセラー車が散見されます。

 しかし、海外に目を向けてみるとさらにロングセラーなモデルが存在し、とくにSUVに多い傾向があるとわかりました。

 そこで、超ロングセラーなSUVを、3車種ピックアップして紹介します。

●スズキ「ジムニー」

ブラジルで今も販売されている、かなりイケてる3代目「ジムニー」

 現行モデルの4代目スズキ「ジムニー」は2018年にデビュー。先代の3代目が1998年に発売されて以来、20年ぶりとなるフルモデルチェンジということで、大いに話題となりました。

 この3代目ジムニーですが実は海外で生き残っており、それがブラジルで生産・販売されているジムニーです。

 ブラジルでは新型の「ジムニーシエラ」(ブラジルでも同名)をすでに販売していますが、それと並行して3代目ジムニーを継続して販売しており、さらに独自の進化を遂げています。

 このブラジル製ジムニーは4つのタイプがあり、ベーシックな「4WORK」、装備が充実した「4ALL」、スポーティな外観の「4SPORT」、そして、より悪路走破性を高めた「FOREST」です。

 フォレストは4スポーツをベースにさらにワイルドでタフな仕様となっており、角型オーバーフェンダーやより力強い印象のバンパー、渡河時に威力を発揮する吸気用のシュノーケルは共通ですが、サイドシルガード、大径のオフロードタイヤ、ルーフラックなどが標準装備されています。

 また、内装は先代ジムニーシエラに準じていますが、もちろん左ハンドルです。

 エンジンは全車共通で、最高出力85馬力の1.3リッター直列4気筒を搭載し、トランスミッションは5速MTのみで、駆動方式はパートタイム式4WDを採用。

 ブラジル製ジムニーはまるでカスタマイズされたようなモデルで、このまま日本で売っても人気となりそうです。

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●トヨタ「ランドクルーザー70」

過酷な環境でこそ威力を発揮するため生き残った「ランドクルーザー70」

 前述のランドクルーザー200系やランドクルーザープラドに加え、さらにロングセラーなモデルとして君臨しているのが、「ランドクルーザー70」です。

 1984年にランドクルーザーの名を世界に広めた40系の後継車として誕生。ボディは当初はショートボディのバンとソフトトップ、ミドルボディのレジントップをラインナップし、全車3.4リッター直列4気筒OHVディーゼルを搭載。トランスミッションは5速MTのみで、駆動方式はパートタイム式を採用しました。

 高剛性のラダーフレームにボディを架装するクロカン車では定番の構造で、足まわりは初期のモデルでは前後リーフスプリングのリジットアクスルを採用して、強度と耐久性が重視されていました。

 ランドクルーザー70シリーズは、国内では2004年に販売を終了しましたが、海外では過酷な環境での信頼性が高く評価され、海外専用車種として販売を継続。

 現行モデルではフロントフェイスなどのデザインを一新し、エンジンも電子制御化されて環境対応をおこなっていますが、基本的な構造は変りなく駆動系の電子制御もおこなっておらず、トランスミッションも5速MTのみと、やはり信頼性と耐久性を重視した改良が施されています。

 誕生30年という節目を迎えた2014年に、期間限定ながら国内市場でランドクルーザー70が復活しましたが、いまも世界の過酷な環境で活躍し続けています。

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●ラーダ「ニーヴァ レジェンド」

現役で販売されていることが、まさに伝説級な「ニーヴァ レジェンド」

 旧共産圏のクルマというと長年生産されるのが当然でした。なぜならライバル不在で、進化する必要がなかったからです。

 そんな時代に設計されたクルマで、日本でも比較的知られているのがロシアのラーダ「ニーヴァ」ではないでしょうか。

 ニーヴァは乗用車タイプのSUVである、今風に表現するならばコンパクトなクロスオーバーといったところで、1977年に誕生しました。

 しばらくは近代化することなく生産され、ソ連が崩壊した後も継続して生産がおこなわれており、近年は信頼性、操縦性、安全性を向上させ、シャシの強化やロードクリアランスの拡大によってオフロード性能が向上しました

 実は1998年に近代的なSUVとなった新型ニーヴァが登場していますが、旧ニーヴァも並行して販売され、さらに、車名がニーヴァから「4×4」に変わり、2021年1月以降は「ニーヴァ レジェンド」としてベースグレードのみが展開されています。

 ボディタイプは3ドアと5ドア(「ニーヴァ トラベル」)を設定し、エンジンは最高出力83馬力の1.7リッター直列4気筒を搭載。トランスミッションは5速MTが組み合わされ、最高速度137km/h、0-100km/h発進加速は18秒と性能的には前時代的です。

 一方で、全車パワーステアリングを装備し、騒音と振動の低減、エアコンやシートヒーターなどの快適装備も充実し、外観は誕生以来大きく変わっていませんが、乗用車としてある程度は進化したといえます。

 ちなみに、旧ソ連時代にニーヴァは南極遠征に使われるなど、まさに伝説級のモデルといえるでしょう。

※ ※ ※

 最後に紹介したニーヴァと同じく、ロシアにはまだまだ「走るシーラカンス」クラスのロングセラーが存在します。

 そうしたクルマの多くはもともと軍用車として誕生したことから、大きく変わらずに生産が続けられているというわけです。

 同様に日本の自衛隊車両の「1/2tトラック(73式小型トラック)」も1996年に登場し、25年間生産されていますが、さらにこの1/2tトラックのベースは三菱2代目「パジェロ」ですから、基本的なコンポーネンツは30年間も使われていることになります。

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