好き嫌いが分かれた? 個性的なデザインがヒットに繋がらなかった車3選
クルマ選びをする際に、まずは見た目で判断する人が多いのではないでしょうか。つまり、クルマの外観デザインは販売台数を左右する重要な要素です。そこで、個性的なデザインからヒットしなかったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
かなり個性的だったクルマを振り返る
クルマに限ったことではありませんが、多くの工業製品は見た目が重要です。まずは見た目が気に入ったか気に入らないかで、購入するかしないかを判断する人が多いのではないでしょうか。
クルマの場合は「顔」にあたるフロントフェイスや、全体のフォルムを見て、購入への第一歩が始まるといえます。
しかし、あまりにも奇をてらったデザインだと賛否が分かれ、購入を躊躇してしまうというケースも存在。
そこで、デザインが個性的すぎたのかヒットに結びつかなかったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「NXクーペ」
かつて、日産の主力車種だった「サニー」は、1981年に登場した5代目からFF化されました。以降は、サニーとプラットフォームを共有するモデルが次々に誕生。
そのなかの1台が、1990年に発売された「NXクーペ」で、7代目サニーをベースに開発された3ドアハッチバッククーペです。
ボディサイズは全長4140mm×全幅1680mm×全高1310mmと、現行モデルの「ノート」に近いコンパクトさで、デザインは1989年にデビューした4代目「フェアレディZ(Z32型)」のエッセンスが随所に散りばめられています。
全体はやわらかなカーブの曲面で構成され、楕円の異形ヘッドライトを配置したフロントフェイスが印象的です。
ルーフはノーマルルーフのほかに、左右を脱着できる「Tバールーフ」が設定されたのも、フェアレディZの影響といえ、ほかにもリアハッチまわりのデザインにZ32型をモチーフとしているのがうかがえます。
エンジンは1.5リッター、1.6リッター、1.8リッターの、いずれも直列4気筒DOHCを搭載し、トランスミッションは4速ATと5速MTを設定。
NXクーペは、もともと働く女性が通勤などで使う「セクレタリーカー」として北米日産で企画され、デザインもカリフォルニアのNDI(日産デザインインターナショナル)によるものでした。
そのため、アメリカ市場では一定の人気がありましたが、日本ではクーペのスポーツ志向が高まってきたことや、個性的なフロントフェイスやフォルムが受けなかったのか、販売は苦戦して1994年に生産を終了しました。
●マツダ「ファミリアNEO」
マツダの現行モデルのなかでも、スタイリッシュなフォルムが好評なのが「マツダ3」です。その前身だったモデルが「アクセラ」で、さらにその前身が、かつてマツダの主力車種だった「ファミリア」です。
そのファミリアの最終モデルとなった8代目に設定された3ドアハッチバッククーペが、「ファミリアNEO」です。
1994年に登場したファミリアNEOは、クーペでありながら比較的全高を高くしたことで、高いスペースユーティリティを実現することをコンセプトに開発されました。
しかし、日本の自動車市場ではクーペ=スポーティというイメージが根強く、海外ではスタイルが評価されましたが、国内ではデザイン的に優れていると評されることはありませんでした。
また、エンジンも1.8リッターと1.5リッターの平凡な直列4気筒しかなく、高性能エンジンが設定されていなかったことも不人気の要因のひとつだったようです。
そのため、1996年にファミリアNEOはラインナップから消滅するかたちで国内販売が終了となり、非常に短命でした。
●スバル「B9 トライベッカ」
スバルのラインナップの特徴として、他メーカーに比べて海外専用車は少ないことが挙げられますが、現行モデルでは、北米専用となった「レガシィ」と「アウトバック」があり、さらに大型SUVの「アセント」も北米市場向けに展開されています。
このアセントの前身となったモデルが、2005年に発売された3列シートSUV「B9 トライベッカ」です。
B9 トライベッカの生産はアメリカ工場で、当初は北米のみの販売でしたが、後に欧州、アジア、オーストラリアなどでも販売されています。
エンジンは3リッター水平対向6気筒DOHCを搭載し、トランスミッションは5速ATが組み合わされ、可変トルク型のフルタイム4WDシステムを採用。
外観はゆるやかなカーブを多用した曲面で構成されたボリューム感のあるフォルムで、スポーティかつスタイリッシュなシルエットです。
一方、とくに特徴的だったのがフロントフェイスで、当時のスバル車が広く展開していた飛行機の翼をモチーフにした「スプレッドウィングスグリル」を採用。
日本では好き嫌いが分かれたスプレッドウィングスグリルですが、海外ではあまり評価が高くなかったようで、2007年のマイナーチェンジで3.6リッターエンジンに換装されると同時に、車名を「トライベッカ」に改められ、フロントまわりはすべて一新されました。
強烈な個性を発していた前期型に比べ、後期型ではオーソドックスなデザインで個性は薄れてしまい、2014年にトライベッカは生産を終了。2018年に現行モデルのアセントが発売されました。
※ ※ ※
最後に紹介したB9 トライベッカのようにあまり個性を主張しすぎると賛否が分かれてしまい、販売に大きく影響するケースもあり、デザインの難しさがうかがえます。
とはいえ、やはりクルマは売れなくては意味が無いので、無難なデザインが是とされるのでしょう。
近年は、奇をてらったようなユニークなデザインのモデルが少ない印象で、ちょっと寂しさも感じてしまいますが。
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