当時の子どもはみんな憧れた! マンガやカー消し 1970年代後半の「スーパーカーブーム」ってなに?
無垢な心にクルマのカッコ良さを教えてくれた
それでも1970年代後半は、小学生にとっても楽しいテレビや漫画、歌がありました。
ザ・ドリフターズの『8時だョ! 全員集合』や刑事ドラマの『太陽にほえろ!』は男子の小学生はみんな見ていたはず。ドリフのギャグや『太陽にほえろ!』の刑事の殉職シーンのマネは、小学生男子の定番でした。
また、『秘密戦隊ゴレンジャー』や『タイムボカン・シリーズ』『宇宙戦艦ヤマト』なども見なくてはならないなど、必見の番組がたくさんありました。小学校からの帰り道では、『およげ! たいやきくん』や、キャンディーズやピンク・レディーの歌を友達と踊りながら歩いたものです。
ここに挙げたのは、個人的な経験ですが、1970年代後半を地方の小学生といて生きた男子であれば、鉄板のメニューであったはず。なぜなら、他に地方の小学生のための娯楽はなかったからです。
テレビと漫画だけを娯楽として生きていた、当時の小学生男子(筆者)にとって、正直なところ、クルマは興味の対象外でした。
街で目にするクルマは四角い大衆車ばかり。ところが、『サーキットの狼』に描かれるスーパーカーは、まったく違っていました。
流麗で、背が低く、子供心にも、カッコ良いということが理解できました。それが、必殺技を駆使しながら熱いバトルを繰り広げるのです。無垢な小学生男子が熱中してしまうのも当然のことでしょう。
筆者は、この作品で初めて「クルマってカッコ良いんだ。速く走ることがカッコ良いんだ」ということに気づきました。同じような小学生男子は、日本中に数限りなくいたはず。だからこそ、スーパーカーブームは一気に火が付いたのでしょう。
しかし当時の子どもとして残念だったのは、『サーキットの狼』の内容が、本当にプロのレーシングドライバーを目指して、リアルなレースの話に移ってしまったことです。
大人であれば、それはそれで見応えがあったでしょう。しかし、クルマを運転したことのない子供としては、内容が難しすぎた気がします。個人的には、サーキット自体がイメージできませんでした。
そんなこともあってか、あれほど熱中して読んでいたにもかかわらず、当時、小学生だった筆者は、最後まで物語を追うことはありませんでした。同じように感じた子どもも、きっと多かったのでしょう。だからこそ、ブームは、驚くほどの速さで沈静化してしまったのです。
ですが、この『サーキットの狼』の経験によって、当時の小学生男子の心に「クルマに対する憧れ」が刻み込まれたことは間違いありません。
クルマという存在、そして魅力を気づかせてくれたのが『サーキットの狼』であり、「スーパーカーブーム」であったのです。
画像のチョイスがおかしい
カウンタックは赤のLP400/LP500が人気で、なによりライバルの512BBや308が無いのはなぜ?