クルマの原価はいくら? 新車200万円なら原価は約45万円? 複雑なクルマの価格事情

実は自動車業界のシステムは100年前から変わらない?

 個々人の価値観や懐事情によって感じ方は千差万別ではあるとしても、それでも、「クルマは高い」と感じる人は多いかもしれません。

 いくら内訳を細かく説明されても、500万円の軽自動車はまず売れないように、価格は需要側のニーズによっても決定されるものです。

 つまり、現実的には販売価格に合わせて原材料費や人件費、販売管理費などを調整することのほうが多いといわれています。

 もちろん、単純に原材料費を下げたり、研究開発や製造の人件費を下げたりしては、品質の低下を招いてしまいます。

 品質を下げずに製造原価を下げることに、多くの自動車メーカーは苦心しているのです。

 そのひとつの答えが「大量生産」で、いまからおよそ100年前、フォードは大量生産システムを導入したことで、それまで一部の富裕層のものであったクルマを大衆化させることに成功しました。

 基本的に、製造量を増やせば増やすほど、製品ひとつあたりのコストを下げることができます。

北米で人気の日産新型「パスファインダー」の生産風景
北米で人気の日産新型「パスファインダー」の生産風景

 一方、ユーザーニーズに合わせたバリエーションも必要であることから、できるだけ部品を共有化しつつ、エクステリアやインテリアなどのデザインで差別化を図るということが求められます。

 近年多くの自動車メーカーが採用しているプラットフォームの共有も、大きくいえばこうした考えのもとに成り立っています。

 ただ、こうした大量生産システムを基礎として成立してきた自動車産業も、CASE(Connected, Autonomous, Sharring, Electrified)の時代となり、見直される必要があるとの指摘も出ています。

 単純な価格競争だけでは、メーカーもユーザーもいつか疲弊してしまいます。

「高くてもこのクルマを買いたい」と思ってもらえるようなクルマづくりが、今後ますます求められていくことでしょう。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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