「マツダ地獄」は過去の話?なぜ「残価率3年55%」の一律に? マツダが残価率にこだわるワケ

「マツダ地獄」は二度と起こさないという強い意志

 クルマは、購入時に値引き交渉が起こり得るという点で、多くの日用品とは少々異なっています。

 当然、ユーザーとしては安く買えるに越したことはないため、値引きの大きい車種には目を惹かれます。

 一方、販売店側としても、商品やブランドの力だけでは販売力が弱い場合、「最後の手段」として値引き販売をおこなうことがあります。

 値引きをしなければ売れない車種はそもそも不人気車種であるため、リセールバリュー、つまり下取り額も安くなります。

 そうなると次のクルマの購入資金も少なくなるため、また、値引き販売されるような不人気車種を選ばざるを得なくなってしまいます。

 そして、この「負のスパイラル」が続くと、ユーザーはもちろん、メーカーにとっても利益の低下やブランド価値の低下という大きな問題へと繋がるのです。

ブランド力向上でかつての「マツダ地獄」はもう過去の話?
ブランド力向上でかつての「マツダ地獄」はもう過去の話?

 かつてマツダはこの状態に陥り、ユーザーからは「マツダ地獄」と呼ばれました。

 それによるブランド価値の低下に危機感を持ったマツダは、クリーンディーゼルエンジンの早期導入や、欧州プレミアムブランドのようなイメージを強調したマーケティングをおこなうなどにより、ブランドイメージの向上を図りました。

 それと同時に、2012年に登場した「CX-5」以降はそれまでのような大幅な値引き販売をおこなわないという販売戦略をとっており、リセールバリューの向上にも努めました。

 また、前述の残価率を一定以上の水準で固定することで、ユーザーに対してリセールバリューの高さを保証したのです。

 実際には車種ごとにリセールバリューの高低があると思われますが、そこで生じる差はマツダが「飲み込んだ」といえるでしょう。

 つまり、マツダが残価率を固定しているのは、かつての「マツダ地獄」から脱却を図り、リセールバリューの高さを保証するための施策であると考えられます。

 また、2019年11月におこなわれた決算説明会にて、マツダは「ブランド価値向上の取り組みや販売刷新などにより、マツダ地獄はなくなった」と説明しています。

※ ※ ※

 残価率は一定期間ごとに見直されるものであるため、これを注視しておくことはユーザーが「地獄」に陥らないための最善の方法であるのかもしれません。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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