メーカーが本気出したらスゴかった! 想像を超えたトンデモマシン3選
クルマを自分好みにカスタマイズする文化は、世界的に広まっています。そうしたカスタマイズカーやチューニングカーはパーツメーカーやショップ、ユーザー個人が手掛けるのが一般的ですが、なかには自動車メーカーが手掛けたモデルも存在。そこで、メーカーが本気でつくったトンデモマシンを、3車種ピックアップして紹介します。
自動車メーカー謹製のスーパーマシンを振り返る
愛車を自分好みにドレスアップしたりチューンナップするカスタマイズは、市民権を得られたことから日本で盛んにおこなわれています。
そうした文化は欧米では古くからあり、アジア圏でも同様に盛り上がっている状況です。
一般的にカスタマイズはパーツメーカーやショップ、または個人がプライベートでおこないますが、1980年代の終わり頃から自動車メーカーやメーカーの関連会社が、カスタマイズパーツの販売とコンプリートカーの製作に参入しており、今ではすっかり定着しています。
とくに自動車メーカーが手掛けるカスタマイズカーやチューニングカーは、高い技術力を生かすことで、時にとんでもないクルマを仕立てる例も存在。
そこで、メーカーが仕立てたとんでもない改造マシンを、3車種ピックアップして紹介します。
●ルノー「エスパス F1」
日本でファミリーカーとして定着しているミニバンですが、欧州では日本ほど人気のジャンルではなく、ラインナップも豊富とはいえません。
しかし、ルノーは早期にミニバン市場に注目しており、1984年には同社初のミニバンである「エスパス」を発売。
外観はウェッジシェイプのスタイリッシュなフォルムで、スチール製のシャシに樹脂製パネルの外装とするなど、技術的にも意欲作でした。
そして、1991年に登場した2代目では、外観は初代からキープコンセプトとしながらもより洗練されたデザインになり、初代に続いて欧州でヒット作となりました。
この2代目エスパスをベースに、1995年、エスパス誕生10周年を記念してスーパーミニバン「エスパス F1」がショーモデルとして登場。
エスパス F1は市販モデルのエスパスの生産もおこなっていたマトラが製作。マトラは1960年代からスポーツカーやF1をはじめとするレーシングカーを製造するメーカーで、当時はルノーと提携していました。
エスパス F1にはその名のとおり、ウイリアムズ・ルノーのF1マシンが1993年シーズンで使用した3.5リッターV型10気筒エンジンを車体中央のミッドシップに搭載。
最高出力は約800馬力を発揮し、同じくF1用の6速セミATを介して路面に伝えられ、カーボンファイバー製パーツをふんだんに使った軽量なボディによって0-100km/h加速は2.8秒、最高速度は310km/h以上を記録しています。
外観はエスパスのイメージを残しつつもボディサイドを大きく拡大し、ルーフ後部には巨大なウイングを装着。室内には4つのバケットシートが設置されてミニバンのイメージでつくられていましたが、エスパスの部品はごく一部で、むしろF1のシャシにエスパスに似た形状のボディをかぶせたようなものでした。
●トヨタ「ランドスピードクルーザー」
2021年6月10日に、トヨタは新型「ランドクルーザー」を世界初公開し、2021年の夏以降に世界各地で発売予定となっており、大いに注目されています。
ランドクルーザーシリーズはどのモデルも共通して高い悪路走破性能と耐久性を誇り、世界中の過酷な環境下で活躍していますが、とくに現行モデルの200系 ランドクルーザーはラグジュアリーなモデルとして、中東や北米、オーストラリアなどで高い人気を誇りました。
この200系 ランドクルーザーをベースに、SUVのスピード記録を樹立するために究極の走行性能を求めて製作されたのが「ランドスピードクルーザー」です。
ランドスピードクルーザーに搭載されたエンジンは、レクサス「LX570」の5.7リッターV型8気筒をベースとし、2基のターボチャージャーが装着されるとともにエンジン内部にも手が加えられ、最高出力2000馬力以上という途方もないパワーを発揮。
外観は若干ワイドトレッド化され、高速走行時の操縦安定性を確保するために車高が下げられている以外は大きく変更されておらず、空力パーツはフロントにエアダムスカートが装着されている以外は、純正のリアスポイラーくらいです。
一方、車体の底面はフラット化されリアにディフューザーを装着することで、ダウンフォースを発生させています。
ランドスピードクルーザーは2016年の「SEMAショー」(世界最大のカスタマイズカーショー)に北米トヨタから出品された後、2017年には実際に速度記録に挑戦。
最高速度230mile/h(約370km/h)を達成し、名実ともに世界最速のSUVとして記録されました。
●日産「370Zki」
日産を代表するスポーツカーといえば「フェアレディZ」ですが、新型の7代目登場が秒読み段階となっており、世界中から注目されています。
フェアレディZは1969年に初代が誕生してアメリカで大ヒットを記録。以降のモデルもアメリカ市場を主戦場としていますが、2018年のシカゴオートショーに非常にユニークなフェアレディZが出展されました。
ベースとなったのは北米仕様のオープンモデル「370Zロードスター」で、タイヤの代わりにフロントにスキーが装着され、リアはトラックベルトとなっており、車名は「370Zki」と命名。370Zkiの「Z」を「S」に見立てて「370スキー」と呼びます。
370Zkiのエンジンやトランスミッションはノーマルのままですが、サスペンションまわりを専用に製作して3インチ(約76mm)リフトアップ。さらにトラックベルトと車体の干渉を防ぐために、ホイールハブに3インチのスペーサーが装着されています。
フロントのスキーも当然ながら専用に製作され、サスペンションはスキー板でもスムーズに回頭できるようにセッティングを変更し、エンジンとトランスミッションを雪から保護するスキッドプレートも装着。
外観はラッピングによるカスタマイズと、スキーゴーグルをイメージしてヘッドライトのカバーをイエローにした程度で、基本的にノーマルのままです。
北米日産はシカゴオートショーでの出展に先駆けて370Zkiをワイオミング州のスキー場で走行させており、実際に雪煙あげて軽快に雪上を走る370Zkiの姿が公開されました。
SUVやクロスカントリー車にトラックベルトを装着する例は珍しくなく、日本でもスキー場や豪雪地帯で活躍していますが、生粋のスポーツカーであるフェアレディZをベースにスノーモービルに仕立てたのは、いかにもアメリカらしいところです。
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とんでもないカスタマイズカーのなかには市販された例もあり、有名なところでは2011年に登場した日産「ジュークR」が挙げられます。
コンパクトSUVであるジュークに「GT-R」のエンジンと駆動系を移植したもので、2012年に5台限定ながら欧州で発売されました。
ジュークRはまさに自動車メーカーだからこそ市販できたモデルであり、遊び心満点で見るだけでもワクワクしてしまいます。
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