最高速度330キロ! スーパーカーもカモれるABT「RSアバント」の実力とは
ドイツのチューナーABTスポーツラインが、創立125周年を記念して限定モデルをリリース。性能だけならスーパーカー級の「RSアバント・ヨハンABTシグネチャー・エディション」を紹介する。
限定64台の超快速ツーリングワゴン
2021年で創立125年となるドイツのVW&アウディ系チューナー、ABTスポーツライン(以下ABT)は現在、創立125年を記念したモデルの開発とデリバリーに積極的だ。
今回発表されたのは、アウディ「RSアバント・ヨハンABTシグネチャー・エディション」だ。
ABTはこれまで、アウディ「RS6」をベースに「RSR6−R」と呼ばれる高性能モデルをプロデュースしてきた。これはフロントに搭載される4リッターV型8気筒ツインターボエンジンを、ECUやターボチャージャー、そして吸排気システムなどのパートをチューニングしたものである。
結果的に740psの最高出力と920Nmの最大トルクを誇り、より大きなパワーと刺激的な走りを求めるアウディ・カスタマーに高く支持された。ノーマル比で140psプラスというスペックと実際の走りは、カスタマーの心を熱く刺激するには十分な数字だった。
だがこのチューニング・ストーリーには、さらに先のプロジェクトが待っていた。それが、創始者であるヨハン・アプトに捧げる生産台数わずか64台の限定車、RSアバント・ヨハンABTシグネチャー・エディションなのである。
チューニングのメニューとスペックは、当然ながらさらに過激なものになった。エンジンは800ps&980Nmというから、ノーマルのRS6比では200psプラス、最大トルクに至っては180Nmものエクストラを獲得している。それは史上最強のロードゴーイングABTにほかならなかった。
この64台のRSアバント・ヨハンABTシグネチャー・エディションには、アンビルの断片が入ったタイムカプセルが搭載されているのが特徴だ。そのカプセルは、センターコンソールのシフトレバー横のパネルにさり気なく装着されている。
ちなみにアンビルとは、金属加工のための鋳鉄製加工台のことで、長年にわたって創始者ヨハン・アプトによって使用されてきたものである。
エクステリアでは、独創的なエアロパーツが目を引く。シュトゥットガルトのハイテク風洞で徹底的にテストされたそれらのエアロパーツは、見た目だけでなく、リアアクスルに150kgものダウンフォースを生み、冷却効果や理想的なエアフローを実現する機能パーツでもある。
インテリアはさらにコレクターズアイテムとして魅力的な仕上がりだ。前述した精巧に作られたマットブラックアルマイト製のタイムカプセルはもとより、手縫いのスポーツシート、「Since 1896」のレタリングが施されたドアシル、新色のシグネチャー・カーボンレッドのスタイリングなど、特別感が漂っている。
もちろん、性能の面でも抜かりはない。0−100km/h加速は2.91秒で、スタンダードのRS6よりも0.69秒も速いタイムだ。さらに最高速度は330km/hと、それらの数値だけを見ると、2シーターのスーパーカーとなんら遜色ない性能であることが分かる。
スーパーカーオーナーの普段の移動に使用する足グルマとして、これほどぴったりなツーリングはないだろう。
ロールスロイスとフェラーリが合体しました的な車ですね(驚)