本格SUVからシティ派までなんでもアリ? 定義がちょっと曖昧なSUVがブームになる理由
昨今はさまざまな自動車メーカーから多種多様なSUVがラインナップされており、世界的なSUVブームとなっています。SUVがこぞって投入される理由とは一体何なのでしょうか。
SUVは古くから続く歴史あるカテゴリーだった
2021年4月にコンパクトSUVのホンダ新型「ヴェゼル」が発売されました。最近はSUVの人気が高く、トヨタ「ヤリスクロス」「ライズ」「ハリアー」なども含めて、販売ランキングの上位に並びます。
SUVとは「スポーツユーティリティビークル」の略ですが、SUVとは一体どのようなクルマなのでしょうか。
SUVの発祥は、日本車ではトヨタ「ランドクルーザー」に代表される悪路を走破するための4WD(4輪駆動車)です。初代ランドクルーザーの発売は1951年(登場時点の車名はトヨタジープ)なので、SUVは歴史の長いカテゴリーだといえます。
悪路向けの4WDは走破力を高めるために大径タイヤを装着して、フロントマスクにも厚みがあります。外観は野性的で存在感も強いです。
そして昔の悪路向けの4WDは、建設会社などが屋外で使う作業車として活用することが多く、外観もワゴン風あるいはバン風。荷物を積みやすく、荷室に2列目・3列目のシートを装着して、乗車定員を9名に増やしたタイプもありました。
これらの特徴は、いずれも屋外の作業を目的にしたものですが、見方を変えると「カッコ良くて実用的」なクルマともいえるでしょう。
そこに注目したのが、1953年から「ジープ」を製造してきた三菱です。1982年に初代「パジェロ」を発売。悪路向けのSUVですが、ジープやランドクルーザーに比べると外観がシンプルで洗練されていて、内装も乗用車感覚で上質です。
初代パジェロを現代のクルマに当てはめると、サイズは少し違いますが、スズキ「ジムニーシエラ」のようなSUVでした。悪路向けの4WDなので走破力は高く、いつでも、どこへでも、自由に出かけられる魅力を備えたバランスの良い商品でした。
そのために初代パジェロはヒット作になり、作業車だった老舗のランドクルーザーなども次第に乗用車感覚を強めました。1980年代には、トヨタ「ハイラックスサーフ」や日産「テラノ」、いすゞ「ビッグホーン」などが発売され、乗用車感覚の悪路向けSUVがブームを迎えました。
私的には少なくとも4WD LOCKが有りがSUV、無しがクロスオーバー車という分け方にしたい。