流麗なフォルムよりも斬新? 見事にカクカクした昭和のワゴン3選

近年はスポーツカーだけでなく、セダンやSUVでも曲面を組み合わせたクーペスタイルのモデルが増えています。一方、昭和の時代には、平面を組み合わせたようなボディのクルマも存在。そこで、今見るとカクカクボディが斬新なワゴンを、3車種ピックアップして紹介します。

平面を組み合わせたようなカクカクボディのワゴンを振り返る

 クルマの外観デザインは時代によって流行がありますが、近年は複雑な曲面を多用した流麗なフォルムのクルマが多い印象です。

 そうした流麗なモデルは古くからあり、決して新しいものではなく、流行は繰り返すということでしょう。

いま見るとカクカクボディが新鮮な昭和のワゴンたち
いま見るとカクカクボディが新鮮な昭和のワゴンたち

 一方、2021年2月に、テスラは平面を組み合わせた外観の「サイバートラック」の最終デザインを公表しました。

 まるで往年のステルス攻撃機「F-117」をオマージュしたかのように、ほぼすべてのボディパネルは平面で構成され、奇異にも映りますが流麗なフォルムが全盛の今では逆に斬新に思えてしまいます。

 そんな直線基調のモデルは昭和の時代に登場した国産車にも存在し、なかでもボディの面積が広いステーションワゴンタイプは、直線基調のデザインが映えるといえるでしょう。

 そこで、今見るとカクカクボディが斬新に思えるワゴンを、3車種ピックアップして紹介します。

●日産「プレーリー」

まさにミニバンの元祖というべき存在の初代「プレーリー」

 ステーションワゴンタイプのボディに、センターピラーレスの両側スライドドア、室内は多彩なシートアレンジが可能な3列シートと、現在のミニバンの要素を先駆けて採用したモデルが、1982年に誕生した日産初代「プレーリー」です。

 当時は多人数乗車のモデルはワンボックスバンをベースにしたワゴンが主流でしたが、プレーリーは乗用車タイプだったことから、かなり先進的なモデルだったといえます。

 外観はまさに平面を組み合わせたようなトールワゴンで、空力性能とは無縁のスクエアなフォルムを採用。

 駆動方式はFFを採用したことで室内は低くフラットなフロアを実現し、センターピラーレスで大きな開口部のドアは乗降性と荷物の積み下ろしも良好でした。

 さらにリアハッチもバンパー下部から開く構造で、8人乗り3列シートと5人乗り2列シートの乗用モデルだけでなく、3人乗りと6人乗りの商用バンをラインナップ

 しかし、初代プレーリーはボディ剛性が低いことによる乗り心地や運動性能の悪化、さらには多人数乗車時の非力さがクローズアップされたことから大ヒットには至りませんでした。

 1988年に2代目にフルモデルチェンジするとセンターピラーがある、オーソドックスなミニバンのスタイルに改められ、現在の「セレナ」へと系譜が続いています。

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●三菱「ランサーワゴン」

直線基調でもスタイリッシュなフォルムの「ランサーワゴン」

 三菱「ランサー」というと高性能セダンの「ランサーエボリューション」シリーズが真っ先に思い浮かびますが、かつては同社の主力車種として、セダンだけでなくステーションワゴンやライトバンもラインナップしていました。

 なかでも1985年に登場した「ランサーワゴン」は、「ミラージュ」のセダンと姉妹車だった2代目「ランサー フィオーレ」をベースとしたステーションワゴンで、ライトバンの「ランサーバン」もライナップ。

 エンジンは86馬力(グロス、以下同様)の1.5リッター直列4気筒ガソリンと65馬力の1.8リッター直列4気筒ディーゼルを設定。パワーは平凡で、経済性と実用性が重視されていました。

 外観はやはり直線基調ですが、ステーションワゴンらしいロングルーフと傾斜したリアハッチによって伸びやかなフォルムを実現してスタイリッシュです。

 また、フロントフェイスは比較的オーソドックスですが、リアまわりは斜めのラインで分けられたテールランプがユニークな造形でした。

 ランサーワゴンとミラージュワゴンは1992年に生産を終え、同年にデビューしたステーションワゴン専用車の「リベロ」へ統合されました。

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●ホンダ「シビックシャトル」

「台形」をモチーフに安定感のあるフォルムを実現した初代「シビックシャトル」

 ホンダは1972年に誕生した初代「シビック」から5ドアのライトバンを設定し、2代目ではステーションワゴンの「シビック カントリー」をラインナップしました。

 そして、3代目では5ドア版の派生車として、1983年にトールワゴンタイプの「シビックシャトル」を発売。

 シビックシャトルは、3ドアハッチバックであるシビックのデザインテイストを残しつつもルーフを高くしたフォルムで、1981年に発売された初代「シティ」の全長を伸ばしたようなイメージです。

 また、直線基調のボディは「台形」を基本としており、見るからに安定感のある印象があります。

 このトールスタイルによって広い室内空間と荷室を実現したことから、レジャー用途にも適したモデルとしてユーザー層の拡大に成功したといえます。

 その後、シビックシャトルは1984年に4WDモデルを追加して、1986年にはスタンバイ方式の「リアルタイム4WD」が登場するなど、よりレジャーカーとしてのポテンシャルを向上。

 1987年にフルモデルチェンジして2代目がデビューし、モデル末期に特別仕様車がスマッシュヒットを記録する珍しい現象が起き、1996年まで生産されたロングセラーになりました。

※ ※ ※

 冒頭で紹介したサイバートラックはかなりアグレッシブなデザインなため、流行になるとは思えませんが、直線基調のモデルは今や少数派なので斬新に見えます。

 昭和の時代のクルマには現代のクルマでは失しなわれた魅力があり、昨今の旧車人気の理由として、デザインに惹かれるという人が多数派ではないでしょうか。

 ただし、旧車を維持するのはそれなりの努力と情熱、そして路上で動かなくなっても冷静でいられる忍耐力が必要です。

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1件のコメント

  1. 現在のデザインでは
    歩行者保護性能を持たせる為、なるべく角を落としているものと考えられます。

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