意外なものが6輪消防車に大変身!? 放水可能な「FIRE&PRINCE」 成田市の消防署に寄贈された車両とは

消防車といえば消火活動に用いられるクルマです。そんななかで、ちびっこに大人気の6輪消防車が存在しました。

放水ビュー! EV消防車の正体とは

 消防車といえば、トラックなどをベースに架装メーカーが用途に応じて艤装(仕様を製作)するのが一般的です。

 そうしたなかで、とても小さな消防車が2020年に千葉県成田市にある消防署に寄贈されました。

放水可能な6輪消防車となる「ちびっこ消防車」(画像提供:NATS)
放水可能な6輪消防車となる「ちびっこ消防車」(画像提供:NATS)

 消防車といってもさまざまな種類が存在します。大きな分類としては「はしご車」「作業車」「ポンプ車」「多目的車」などです。

 さらに、はしご車の場合15mはしご車や50mはしご車など長さに応じた区分もあります。

 2020年2月に寄贈された消防車は、通称「ちびっこ消防車」といい成田市の赤坂消防署に展示されています。

 元々、ちびっこ消防車は約30年前に、当時の職員たちが「子供たちにも防火思想の普及が重要」という考えのもと製作しました。

 当時は、走行や放水が体験できたといいますが、現在では展示のみの状態になっていました。それが今回、株式会社ナリコーや自動車専門学校の日本自動車大学校(通称:NATS)によって、新たなちびっこ消防車の製作が実現したといいます。

 新ちびっこ消防車のベースとなったのは、日立「キャリーECO5-Z」というゴルフカートで、実際に東京オートサロン2020にて「FIRE&PRINCE」という名称で展示されています。

 製作の経緯について「30年前から成田市の消防署に飾られている“ちびっこ消防車”。これまで防火教育や火災予防広報などで活躍していましたが、経年劣化によりリメイクします!!」と説明しています。

 外観部分は、NATSの学生たちが作成し、6輪化して荷台には放水システムを完備。

 ヘッドライトはCRYSTAL EYE製のトヨタ「bB」用、グリルはスズキ「スペーシアカスタム」を活用、シートは船舶用のレザーに張り替えるなど細かな部分までこだわっています。

 種車はゴルフカートのEV仕様であるため、走行モーターにDC48V(3kW)、バッテリーに100Ah/5HR×4個を使用することで、ゴルフでいう「1.5ラウンド分(27ホール)」を走ることが可能です。

 新ちびっこ消防車について、NATSの担当者は次のように説明しています。

「成田市の赤坂消防署にある初代ちびっこ消防車が老朽化し、リメイクの依頼がありました。

 そこで、地元の企業であるナリコー(資金提供)とNATS(製作)が協力し製作。

 EVのゴルフカートを6輪化し、放水・手動サイレン・拡声器付きの消防車仕様にしました。
 ボディはグラインダータトゥーを施し、キャンディレッドに塗装して、世界に1台のちびっこ消防車が完成しました。現在は成田の赤坂消防署に2代目ちびっこ消防車として展示されています。

 製作については、教員を中心に有志の学生たちが集まり担当しました。車検はもちろん取得していませんが、こだわって製作したので時間はぎりぎりまで掛かりました。

 東京オートサロン2020では、ちびっこに大人気で、ちびっこ用の防火服(本物の消防士が着る服と同様の素材)を着用し写真撮影の長蛇の列ができていました」

※ ※ ※

 消防車といえば消火活動に用いられることが多いですが、子どもたちの防災意識を高める重要な存在が2代目ちびっこ消防車だったのです。

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