トレンドや実用性なんて関係無い! 攻めの姿勢がすごかった車5選
ヒットしなくても技術的には相当な意欲作といえる2台とは
●ホンダ「インサイト」
1997年に世界初の量産ハイブリッド車、トヨタ初代「プリウス」が誕生。驚異的な低燃費を実現し、現在のハイブリッド車普及の足がかりとなった、歴史に残る名車といえます。
この初代プリウスに対抗するために各メーカーもハイブリッド車を開発し、ホンダから1999年に発売されたのがハイブリッド専用車の初代「インサイト」です。
新開発のハイブリッドユニットと、空力特性を重視したクーペスタイルのフォルム、さらに高価なアルミ製モノコックシャシと室内を2シーターとすることで大幅な軽量化をおこなった結果、燃費はプリウスを上まわり、量産車で世界最高となる35km/L(10・15モード)を達成。
すべてが燃費性能向上のために特化したインサイトは、その後もプリウスと燃費競争を繰り広げましたが、さすがに2シーター車では実用的に不利で、販売台数でプリウスを大きく下まわりました。
さらに、2003年に登場した2代目プリウスはEV走行も可能とするなど、もはやインサイトは太刀打ちできない状況となり、2006年に生産を終了。
その後、2009年にプリウスに近いフォルムの5ドアハッチバックとして2代目インサイトが登場。実用性は一気に向上してヒット車になりましたが、初代のようなインパクトはありませんでした。
●ダイハツ「ハイゼットカーゴ ハイブリッド」
前述のとおり初代プリウスから始まったハイブリッド車はさまざまなカテゴリーのモデルに波及し、現在はスズキ、日産、三菱の軽自動車にも、補機用発電機とモーターが兼用のマイルドハイブリッド車がラインナップされています。
一方、ダイハツは2005年に軽商用車では初となる、本格的なパラレル式ハイブリッド車の「ハイゼットカーゴ ハイブリッド」を発売しています。
ハイゼットカーゴ ハイブリッドのシステムは比較的強力なモーターがエンジンパワーをアシストする仕組みで、前出の初代インサイトにも同様なシステムが採用されていました。
軽1BOXバンの「ハイゼット カーゴ」をベースに、1基の薄型モーターをエンジンとトランスミッションの間に配置したコンパクトなハイブリッドシステムを搭載。
最高出力50馬力のエンジンに組み合わされるモーターの出力は12.7馬力で、バッテリーはニッケル水素を採用してリアシート下に格納しており、発進時や加速時にエンジンパワーをアシストします。
ほかにもアイドリングストップや、減速エネルギーの回生をおこなうことで燃費は20km/L(10・15モード)を達成。ベースのガソリン車が15km/Lでしたから30%以上も向上。
しかし、ハイゼットカーゴ ハイブリッドの価格は215万5500円(消費税5%込)と、ベース車に対して100万円以上も高価ということもあり、燃料代で価格差を相殺するのは非現実的でした。
そのため一般ユーザーには販売されず、顧客は官公庁や環境問題に関心の高い企業に限定され、あくまでもスタディモデルによる実証実験という意味合いが強かったと思われます。
その後、ハイゼットカーゴ ハイブリッドは2010年に生産を終了。現在、ダイハツが自社開発したモデルにハイブリッドはありませんが、15年以上も前に本格的な軽ハイブリッド車をつくったことは、もっと評価されても良いのではないでしょうか。
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セラやX-90のようなモデルが、今後日本のメーカーから出ることは二度と無いでしょう。それほど、日本の自動車市場は成熟して、隙がなくなっているといえます。
ほかにも、かつてのリーマンショックといった経済危機の経験を踏まえると、各メーカーとも余裕がなくなってしまった部分もあるのでしょう。
こうしたユニークなモデルが出てこないのは寂しいところですが、現在も続く新型コロナウイルスの影響などを考えると仕方のないことかもしれません。
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