スバル「レヴォーグ」の大賞受賞で注目のJNCAPって何? なぜ自動車メーカーは気にするのか
日本はEuro NCAPを意識
こうしたNCAP(ニュー・カー・アセスメント・プログラム)は、日本のJNCAPのほかにも世界各国でおこなわれています。
欧州でのEuro NCAP、中国でのC-NCAP、韓国のKNCAP、オーストラリアとニュージーランドのA-NCAPがあり、さらにアメリカでは運輸省道路交通安全局(NHTSA)と米国道路安全保険協会(IIHS)が併存する形です。
これらの試験方法は、それぞれの国や地域の社会状況や交通事情、また試験に対する各団体や行政機関の考え方、そして実際に発生している事故の状況に応じてそれぞれ方法に特徴があり、さほど大きくないとはいえ検査の項目や条件などに差があるのが実情です。
例えば、正面衝突を想定したフルラップ前面衝突試験をNHTSAではおこないますが、IIHSやEuro NCAPではおこなわず、オフセット前面衝突試験を重視しています。また、Euro NCAPでは電柱などポールに対する側突試験や、シートベルトリマインダーの装着有無、さらにはスピードリミッターの装着有無も試験項目に含まれています。
JNCAPについては、筆者がこれまで自動車メーカー各社と意見交換している限りでは、「Euro NCAPを意識したもの」という見解が主流にあると思います。
実際、国土交通省が公開している評価検討会の議事結果をみると、参加した委員などからEuro NCAPの動向を示唆する意見が見られます。
また、公開されているJNCAPのロードマップによると、近年中に新たに実施される試験項目は、被害経緯ブレーキによる対自転車や、交差点内での作動などが検討されていることが分かります。
今後は、運転支援技術が高度運転支援システム(ADAS)からレベル3以上の自動運転へと移行するなかで、JNCAPでは新たなる試験項目が必要になってくるでしょう。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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