全長約35m! 多段18速MT採用! 公道不可の超巨大トレーラーが存在するワケ

長いー!長過ぎる! 公道走行不可の巨大トレーラーとは?

 専用道路を走るダブルス・トレーラーとはどのようなメーカーのどのような車両なのでしょうか。

 ちなみに、約20年ほど前までは、「トリプルス・トレーラー」も2セットのみでしたが運用されていたそうです。

 積載量は、35トン×3トレーラー=105トン(現在44トン×2トレーラー=88トン)。

 全長45mもの長さで積載時の総重量は約160トンもあったため、当時は限られた乗務員にしか運転出来なかったといいます。

 現在、専用道路を走るトラクターはすべてダブルス・トレーラーで、トラクターは以下の4車種となっています。1台当たりのレギュラー車としての使用はトラクターが約8年(150万km走行)、トレーラー部分が約10年(190万km走行)に設定。(その後、予備車として故障車のバックアップなどに2年程度使用)

 外観からして、迫力のあるケンワース「T609型」、「T610型」は、最高出力は600馬力、排気量15リッター、18速マニュアルトランスミッションのスペックを誇ります。

 日本では、まず見ることがないデザインが目を引きます。

 フロントウィンドウの面積が狭いことで視界も狭く、18速MTの操作も高度な技能が必要で乗り心地も良いとはいえないようですが、600馬力というパワフルなエンジンと何より迫力あるカッコいいデザインで、社外見学者の人気はナンバーワン。

 ケンワースはアメリカのメーカーですが、右ハンドル仕様を製造しているオーストラリアから直輸入をしています。

 次は、いすゞ「GIGA」(EXZ52CK-XRR-M改)は、最高出力520馬力、排気量15.7リッター、16段マニュアルトランスミッションというスペックです。

 2020年9月に発売された「ロングトミカ 宇部興産ダブルス・トレーラー」は、この車種が使われました。日本メーカーの製品ゆえメンテナンスやパーツ供給体制、整備性にも優れています。

 ボルボ「FH64」は、最高出力520馬力、排気量12.8リッター、12段オートマチックトランスミッションというスペックの車両も存在。

 日本市場への参入が早いこともあり、海外メーカーではありますがサービス体制が比較的充実しています。北欧のメーカーであるので、視界良好、乗り心地が良いといった特徴があります。

 そのほか、2016年からの導入で4車種のなかではもっとも新参車である、スカニア「R580」、「R650」(LA6X4HSZ)のトラクターです。

 最高出力580馬力、650馬力(16リッターV型8気筒・ポスト新長期対応エンジン搭載)のスペックです。

 前後リーフサスペンション、スカニアオプティクルーズ12段OD自動変速機能付トランスミッションを搭載したいわゆるAT車です。

 ボルボと同様に北欧のメーカーですので、視界も広く、運転がしやすく乗り心地も良いので人気上昇中。

 実際に使われているのはホイールベースを3300mmまで延長した宇部興産向けの専用仕様です。

宇部興産専用道路を走行する巨大な「ダブルス・トレーラー」(撮影:加藤久美子)
宇部興産専用道路を走行する巨大な「ダブルス・トレーラー」(撮影:加藤久美子)

 また、かつては三菱ふそう(FV50L型)もトラクターとして使用されていましたが、15年程前にメーカーが撤退して新車供給を停止しました。

 当時すでに使用していた車両に関しては寿命を迎えるまでメンテナンスをおこなっていたとのことです。

※ ※ ※

 なお、ダブルス・トレーラーの運転資格を得るためには、私道であっても公道での大型免許と牽引免許を有していることが条件となります。

 非常に特殊な車両であるため安全な走行には特別な技術を必要とします。乗務員教育は助手席同乗に始まり、空車状態から積載状態での走行トレーニングを中心に1か月から2か月もの訓練期間を設けているといいます。

 その訓練を経て、最終的には検定者の同乗による走行試験に合格した乗務員だけが、あの巨大トレーラーを運転できるのだそうです。

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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