とにかく個性を主張! デザインがおもしろすぎる車5選
同様なコンセプトの日欧ユニークミニバンとは
●フィアット「ムルティプラ」
第二次世界大戦後のフィアットがつくるモデルは、「NUOVA 500」に代表される小型のモデルが主力車種となっていました。
なかでも1956年に発売された初代「ムルティプラ」は、リアにエンジンを搭載したコンパクトカー「600」をベースにした3列シート6人乗りで、優れたパッケージングを実現したコンパクトミニバンの先祖といえるモデルです。
そして、1998年にムルティプラの名前を冠した6人乗りミニバンが誕生。そのデザインは大いに物議を醸しました。
外観はスクエアなフォルムの5ドアハッチバックですが、まるで両生類のようなフロントフェイスに、キャビンはクルマの上にクルマが重なっているようにも見える奇抜すぎるデザインを採用。
また、ムルティプラは2列シートながら、前席に3人、後席に3人が横並びで乗車できる独立したシートレイアウトとなっており、そのためボディサイズは全長3995mmに対して全幅1870mmと極端に幅が広くなっており、お世辞にもバランスが良いとはいえませんでした。
ムルティプラのデザインはとくに欧州で酷評されたことから、2004年のマイナーチェンジでフロントセクションのデザインを一新。
しかし、今度はデザインがあまりにも普通すぎて、前期型の奇抜さを好む声が大きくなるという皮肉な結果となりました。
ムルティプラは日本でも2003年から正規輸入されましたが、5速MTのみの設定だったためか人気とはなりませんでした。それでも前期型の方が好まれており、現在販売されている中古車も前期型が多い状況です。
●ホンダ「エディックス」
1994年にホンダは、初のミニバンとなる初代「オデッセイ」を発売。空前の大ヒットを記録し、1996年には初代「ステップワゴン」を発売すると同じく大ヒットして、両ミニバンはホンダの主力車種となりました。
その後、ホンダはミニバンラインナップの拡充を図り、2004年に新発想のミニバンとして「エディックス」が登場。
最大の特徴は室内で、前出のムルティプラと同じく前列、後列とも独立する3つのシートが設置された2列シート6人乗りのレイアウトを採用していました。
外観は全幅を最大限に室内寸法に生かすため、1BOXバンのように左右のパネルがほぼ垂直とされ、サイドビューはショートタイプのミニバンながら、前後から見ると真四角というユニークなフォルムとなっています。
エンジンは発売当初は1.7リッターと2リッター直列4気筒が搭載されていましたが、後期型ではよりパワフルな2.4リッターエンジンを追加。
このユニークなシートレイアウトによってエディックスは大いに話題となりましたが、一般的な3列シート+後席スライドドアのミニバンほどの人気とはならず、2009年に一代限りで販売を終了。
欧州では比較的人気が高かったことから、コンセプトは間違っていなかったといえますが、日本のミニバン市場では苦戦したということでしょう。
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今回、紹介した5車種はセールス的には成功しなかったといえますが、今見ると斬新かつ好印象ではないでしょうか。
奇をてらったデザインはメーカーとしてもある意味ギャンブルといえますが、横並びに同じようなデザインよりもデザイナーの主張が伝わってきます。
近年は失敗が許させない風潮が強くなったのか、こうしたユニークなデザインのクルマが少なくなったのは、寂しいところです。
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