隈研吾氏がロールス・ロイスのビスポークに関わった「ドーン」完成! 新国立劇場との関係は?

建築のエッセンスをいかにしてロールス・ロイスに取り入れたのか

 また、ペントハウスのエントランス・ロビーにふんだんに使われているウォルナット製パネリングにちなんでリアデッキに張られた、オープン・ポアのロイヤル・ウォルナット製パネリングが、インテリアとエクステリアを調和させるとともに、新国立競技場をはじめとする木材を多用した近年の「隈研吾作品」との親和性を高めているようだ。

●ロールス・ロイスと隈研吾の妙なる融合

ボディカラーは、陽が差すと建物外壁のブロンズ格子スクリーンルーバーや、インテリアのブロンズのディテールを反映した温かみのある色に表情を変える「シルバー・ヘイズ」が選ばれた
ボディカラーは、陽が差すと建物外壁のブロンズ格子スクリーンルーバーや、インテリアのブロンズのディテールを反映した温かみのある色に表情を変える「シルバー・ヘイズ」が選ばれた

 インテリアでは、全面にわたる「セルビー・グレー」のレザー・インテリアに「アークティック・ホワイト」と「ブラック」のアクセント、さらに「スレート・グレー」のシートベルトが強調する。

 また、ロールス・ロイスでは初の試みとして、フロント・フェイシアに「ピアノ・セルビー・グレー」から「ピアノ・ブラック」へと変化する、オンブレ(濃淡処理)のグラデーションも採用。ステンレス・スチール製インレイとして「The Kita」のロゴが埋め込まれる。

 これは「ロールス・ロイス・ビスポーク・コレクティブ」が製作したインレイのなかでもっとも繊細な作品であり、この住宅のユニークな手仕上げのステンレス・スチール製フィッティングに対する連帯感を表す意思表示ともなっているという。

 さらに同じ格子のモチーフを、フロントのヘッドレストやリアシートの間にあるウォーターフォールの刺繍で表現。締めくくりとして、特別デザインのビスポーク・クロックや、インテリアカラーにマッチするビスポーク・アンブレラにいたるまで、建築家・隈研吾氏のこだわりを反映する仕上げが施されているとのことなのだ。

 この特別なロールス・ロイスの完成にあたり、隈研吾氏はプレスリリース内でこのように述べている。

「私がこの種のプロジェクトのコンサルティングに携わるのは初めてですが、伝統的なクラフツマンシップへの敬意と、自然素材の良さを引き出したいという思いを共有するロールス・ロイスのためにこのプロジェクトに参加できたことを誇りに思います。

 ロールス・ロイスは『The Kita』のエッセンスを自動車の美学に採り入れ、『The Kita Tea House』のオ―ナーを取り巻く都市環境を取り込むことを可能にしました。ついにこのクルマを東京で見ることができて、とても光栄です」

 一方、ウエストバンク社の創設者イアン・ガレスピー氏は以下のように続けている。

「このビスポークのドーンは、私たちの作品群に美しいアクセントを加味してくれました。ロールス・ロイス ドーンに対する隈さんの影響は、彼が『The Kita Tea House』で作り上げた静けさと美しさを具現化したものであり、その記憶の延長線上で個人が楽しめるようになっています」

【画像】隈研吾氏の建築にインスパイアされたロールス・ロイスとは(11枚)

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